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中国のEVメーカー「理想汽車(Li Auto)」は22日、GPU(グラフィック処理プロセッサ)を開発・販売する米「NVIDIA」およびインテリジェントキャビンを手がける中国「徳賽西威汽車電子(Desay SV Automotive)」と正式に戦略提携協議を締結した。
理想汽車は2022年に発売予定としているレンジエクステンダー搭載のフルサイズSUVにNVIDIA製の自動運転向けSoC「Orin」を搭載する予定だ。NVIDIAの創業者ジェン・スン・フアン(黄仁勲)氏によると、理想汽車はOrinを採用する初の中国企業だという。
開発力を強化し、L4自動運転の実現へ
理想汽車は現段階では「理想ONE(Lixiang ONE)」一車種のみで展開している。創業者の李想氏は昨年、「今後3年で新車種を一つだけ発表する」と宣言しており、スマートドライビングが急速に伸びている業界の趨勢とはそぐわない姿勢を示している。しかしNVIDIAとの提携によって、理想汽車が今後は運転支援システムに注力していくことが明白になった。
理想汽車の王凱CTOによると、同社はNVIDIAやDesayとの提携をオープンに進めていくことを前提とし、センサー分野については理想汽車が独自に研究開発を行っていくという。また「技術全体で一つのクローズドループを完成させ、より頻繁なアップグレードを実現していく」と述べている。
NVIDIA自動車事業部門のグローバルバイスプレジデントRishi Dhall氏は、理想汽車が採用したOrinはNVIDIAが昨年発表した製品で、4年の年月と数十億ドル(数千億円)を投じて開発した車載用SoCであると説明した。計算処理能力とエネルギー効率が大幅に向上し、Orin単独で演算性能が200TOPS(Tera Operations Per Second)に達するという。これは先代製品Xavierの7倍に相当する。
Orinを基盤にすれば理想汽車は最高でL4の自動運転機能を実現でき、エンドユーザーに対してソフトウェア、ハードウェアともにアップグレードを提案できるようになる。車両全体の演算性能も最高で2000TOPSにまで拡張できる。なおかつ、演算性能が大幅に向上してもOrinの消費電力はわずか45Wに留まる。
Orinは単独で200TOPSの演算性能を有し、この時点でL2クラスの高水準な運転支援性能を持つが、もし2セット使用すれば演算性能は400TOPSとなりL4クラスの自動運転機能も提供できる。将来的にdGPU(独立GPU)を用いれば理論上は演算性能が2000TOPSとなり、L5クラスの自動運転も十分に実現できる。
演算処理をOrinが担う上に、Desayからは自動運転用の制御装置が提供される。これらをベースとして、理想汽車は自動運転のプログラム設計とアルゴリズム設定を独自に行っていく計画だ。
NVIDIAのグローバルバイスプレジデントで中国エリアの総経理を務める張建中氏によると、Orinは今回の提携を機に量産化のスケジュールを前倒しし、理想汽車の新車種のSOP(量産開始)時期に照準を合わせ、2022年にも生産を開始するという。
自動車メーカーからテック企業へ
今回の提携は、ナスダック上場も果たした理想汽車がスマート化に大きく舵を切ったことが背景にある。こうした方針は同社の人材募集にも表れている。新たにCTOのポストを設け、米自動車部品大手ビステオンのシニアアーキテクトを務めた王凱氏を招いた。李想CEOは上場後の新たな変化として、人材における「適材適所」をより一層実現していくとしている。王凱CTOは今後、インテリジェントキャビン、自動運転、および演算プラットフォームの三部門を統括する。
NVIDIA、Desayとの提携について王CTOは、理想汽車は現在、細分化領域での提携パートナーを確保することで弱点を迅速に補完していく必要があると述べた。問題点を克服するとともに、顧客体験を向上させる方法を優先的に探究していくべきだとし、「その他のことについては後回しでもいい。現時点で取り掛かる必要はない」と語気を強めている。(翻訳・愛玉)
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