デジタル化進む中国の家事代行、登録スタッフのオンライン研修も実施で品質向上へ

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デジタル化進む中国の家事代行、登録スタッフのオンライン研修も実施で品質向上へ

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家事代行サービスを行っているインターネット関連企業の「江蘇斑馬軟件技術(BM001)」がシリーズAで6000万元(約9億円)を調達したことを発表した。リードインベスターは「江蘇鼎竹科技(Jiangsu Dingzhu Technology)」、コ・インベスターは「一米資本(Yimi Capital)」と北京「中関村文化(Zhongguancun Culture)」。創業者である張浩氏は、調達した資金は家事代行サービス企業と家事代行サービススタッフ養成スクールのデジタル化に充て、市場開拓に本腰を入れることを明らかにした。

江蘇斑馬軟件技術(以下「斑馬軟件」)は、2016年12月に中国(南京)軟件谷(China Nanjing Software Valley)で設立。2018年5月にはエンジェルラウンドで1000万元(約1億5000万円)、2019年5月にはプレシリーズAで1500万元(約2億3000万円)を調達しており、2019年7月には決済サービス「拉卡拉(LAKALA)」に資本注入している。

家事代行サービス業界には十分な市場規模があり、中国全土に広がっている。とはいえ、標準化のハードルも高く、直営型企業上位2社の市場シェアはわずか5%未満、上位5社でも8%に満たない状態である。特に二線、三線の地方都市となると、ブルーオーシャン状態だ。企業の多くがインターネットの自社経営モデルを生かしてサービス向上に務め、規模を拡大しようとしているが、その効果はまだ顕著ではない。サービス品質を一定に保つ難易度と管理コストが高いことが主な原因だ。

斑馬軟件はこのような現状に対して既存の家事代行サービス業とは別の道を選んだ。現行の家事代行サービス企業とスタッフ養成スクールへサービスを提供することにより、同業界のデジタル化と標準化をサポートし、家事代行サービス産業のネットワークを構築する。

現在の家事代行サービス業界は規模が小さく、管理方法が古く、運営効率が低いなどの問題があまねく存在する。これらの課題を解消し、コスト削減、効率アップを行うため、自社の技術力を生かし家事代行サービス企業管理システム、スタッフ養成スクール一括管理システムなどのソフトウエアを開発した。業務管理、営業、リソースのマッチング、人材募集、高給待遇など企業側が抱える問題をサポートする。業務管理においては、家事代行スタッフ、顧客、契約、従業員、財務などの管理を行うことができ、企業の管理運営の効率アップをサポートする。営業面では、キャッチーな広告コピー、ポスター、営業活動関連のツールを用意し、「ゼロコスト」での営業販売とブランドPRをサポートする。このほか、保険加入、電子版契約書、身分証の照合、商務部の信用登録、健康診断予約などワンストップ式のサービスを提供する。

家事代行サービス業の信用問題はこれまでも大きな問題であった。同業界では信頼体系を構築することが急務となっている。この問題に関しても、全国家事代行信用プラットフォーム「家服e」をリリースした。同プラットフォームは家事代行業界の口コミ投稿サイトとして機能している。家事代行サービス企業と家事代行スタッフの信用体系の構築を通じて、企業、家事代行スタッフの信用ランキングを作り、サービスのチェック、評価、追跡ができる仕組みだ。

2020年8月時点で、3万7000社の企業が斑馬軟件の家事代行管理システムを利用しているという。中国全土をカバーし、家事代行サービス企業をインターネットでつないでいる。同システムに登録している家事代行サービススタッフは370万人を超えている。

斑馬軟件の「双師モデル」のライブレッスンの様子

注目すべきは、従来の家事代行サービスの職業訓練の高度化を図り、新たにビジネス収益モデルを構築したことや、同社が設立した「風声家事代行職業訓練スクール」は「双師(講義する教師とサポートする教師の2人体制)」、「ダブルスクール」、「インタラクティブ」モデルを採用したことで、家事代行サービススタッフとスクール自体に活気をもたらし、「オンラインのメイン講師+現地のアシスタント講師+シームレスなインタラクティブ」研修モデルを実現したことだ。メイン講師が授業を行い、専門的なカリキュラム内容を教える。アシスタント講師は受講生のそばについてフォローアップや学習効果を担当し相乗効果を目指す。このモデルのメリットは、従来の職業訓練学校のコスト削減に加え、現地の受講生が著名な講師から直接レッスンを受けられることで、市場の認知度も高い。半年で200か所を超えるスクールを中国全土でオープンしている。

新型コロナウイルス感染拡大中は、従来の家事代行サービス業が大きな影響を受けた一方、介護やベビーシッターなどのサービス需要は旺盛であった。そのため、同社ではインターネットを通してオンライン面接、オンライン契約、オンライン研修などの機能を追加しより多くの業務をサポートしてきた。

斑馬軟件のほかには、家事代行SaaSサービスプラットフォーム「熊猫系統」や「上海享享科技」などもこの業界に参入している。現時点で斑馬軟件に競合する企業数は多くない。斑馬軟件はこの点に関して、この業界は複雑で、いまだ規範化されていないため、規模を拡大するのはかなり難しいと分析する。とはいえ、開発チームはこの四年余りで、ユーザー需要の把握、顧客への認識、製品と講師人材に関して一定の経験を積み重ねてきたとの見解を示した。(翻訳:lumu)


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