元ベンチャーキャピタリストは、インドネシアでの家具Eコマースのどこに勝機を見出したのか【Fabelio創業者インタビュー】

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元ベンチャーキャピタリストは、インドネシアでの家具Eコマースのどこに勝機を見出したのか【Fabelio創業者インタビュー】

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Investnesiaでは、インドネシアで急成長しているスタートアップへのインタビュー記事を開始しました。今回は、家具のEコマースのマーケットプレイスを運営するFabelioの共同創業者のChristian Sutardi氏にインタビューをしました。

Christian Sutardi氏は、過去に東南アジア市場に特化したVCのMonk’s Hill Venturesや飲食デリバリーサービスFood Pandaで働いた経験を持ちます。

今回のインタビューでは、インドネシアのEコマース市場のポテンシャル、Fabelioのビジネスについて、また、今後の日本企業との連携の意向について伺いました。

まず、はじめにFabelioのサービスについて教えてください。

Fabelioは家具をオンラインで販売する会社です。ホームと生活に関連する商品とインテリアデザインをB2BおよびB2Cで提供しています。Fabelio自身は家具のブランドでもあり、ほとんどの商品のデザインを自社で手掛けています。ビジネスモデルとしては、家具のデザインから配送までを行うことで、ほぼ100%の垂直統合を行っています。製造の工程のみアウトソーシングしています。最初は、ソファやダイニングテーブルと言った家具から始まりましたが、今では幼児用の家具から装飾品に至るまでほぼ全てのカテゴリーの家具を販売しています。また、最近、Fabelio以外のメーカーの家具も販売しています。大都市やその郊外に住むミドルクラスの消費者が私たちの主な顧客です。

FabelioのHPより

Fabelioはどのようにして始まったのでしょうか?

私の元々のバックグラウンドは、Private Equityから始まり、そこからスタートアップに転身しました。その中で、私はEコマースのビジネスが全世界で共通のパターンを描いていることに気づきました。まず、はじめのビジネスモデルはAmazonのような水平モデルから始まります。Fabelioは2015年創業ですが、その当時にはTokopediaやBukalapakと言った同じようなEコマースビジネスのモデルはすでにインドネシアで存在していました。次に、チケットやデジタルグッズなどのEコマースが生まれます。インドネシアだとTravelokaやTiket.comがそうです。3番目にファッションのEコマースが来ますが、こちらもすでにインドネシアでプレイヤーがいました。4つ目のステージがライフスタイルで、まず、ビューティ分野が来ます。そして5つ目に家具がきます。アメリカやイギリスのEコマースでも同じような道筋を辿っていて、とても顕著な流れでした。その上でなぜ私たちが家具のEコマースを始めたのかというと、インドネシアで次のトレンドが家具であり、適切なタイミングだったからです。

そして、次に家具購入者からの大きなニーズを感じたからです。当時のインドネシアの家具の購入は、あまり魅力的な選択肢はありませんでした。それは市場や大型家具店で購入するか、写真を見せて大工にテイラーメイドで作ってもらうかです。しかし、市場や大型家具店の家具はそこまでワクワクしませんし、大工は一人一人の予算にバラ付きがあり市場の標準価格がないという課題がありました。私たちはオンラインで400種類の家具を提供することで、探索やワクワクする体験といったリサーチの行程を自宅からでもできるようにしました。これはとても効果的でした。私たちは新しい標準をマーケットに提供しています。例えば、価格は明記されていて、コールセンターにもいつでも連絡が取れます。そうすることで、お店にわざわざ出歩く必要がなく、スマートフォンだけで完結します。家具の購入体験を近代化させたかったのです。

インドネシアの家具Eコマース市場のポテンシャルについてどのように考えていますか?

インドネシアの小売協会によれば、2014年より家具の市場は毎年7%成長しています。大まかになりますが、今は、約55億ドルの市場規模です。その中で、4%ぐらいがEコマースのマーケットシェアなので、ざっくり2.2億ドルの市場規模と言えます。そして家具のEコマース市場の成長率は他よりも抜きん出ていて、年間20 ~ 30%で成長していると思います。なので私たちも急速に成長しています。

Fabelioに関する質問に移ります。Fabelioは顧客のどんな課題を解決しているのでしょうか?

実は、Fabelioは良い家具を安くミレニアル世代に提供するというシンプルなD2Cのアイデアとして始まったのですが、やっていく中で消費者の本当のニーズが見えてきました。それは消費者にとっての大きな課題は、家具購入時におけるリスクということでした。例えば、先ほどの大工への発注という点では、大工が代金を持ち逃げてしまうことがあります。なのでFabelioではリスクフリーと言った価値を提供しています。気に入らなければ30日以内であれば返品することができますし、2年間の保証をつけています。

FabelioはEコマースの事業者ですが、どうしてオフラインの店舗も持たれているのでしょうか?

その点については、まず、一般的なEコマースと家具のEコマースの違いについて話す必要があります。一般的なEコマースで売られている商品はコモディティなので、利用者は買いたい商品を事前に特定していて、一番安いものを選びます。例えば、Samsung Galaxyの新型が欲しければ、Amazonで一番安く売られているモノを見つけてそれを購入しますよね。一方で、家具のEコマースの購買体験はサーチよりもブラウジングに近いです。例えば、椅子が欲しいと思ったら、Eコマースサイトに飛び、自分のニーズにあった椅子が見つかるまでページ内で探しまわります。つまり、購入する前に、消費者の中である特定の椅子が頭にイメージされているわけではないのです。家具を購入する場合、顧客はより慎重になり、より多くの時間をリサーチにさきます。商品情報や画像やより多くの情報があるほど、購入に繋がりやすいのです。そのためにFabelioはオフラインのショールームで顧客が直接家具を体験できるタッチポイントを提供しているのです。実は、Fabelioで購入する顧客の93%が、ショールームに来店をするのです。オフラインのショールームの他の良い点として、アップセルができたり、信頼を構築することができます。

ショールーム(Fabelioより提供)

Fabelioの競合他社はどのような企業でしょうか?

同じセグメントで言えば、InformaやIKEAと言った大型の家具店です。TokopediaやBukalapakやShopeeなどの大手のEコマースも競合他社になります。自社のブランドの商品をEコマースで販売しているという点では、私たちはIKEAに一番近いと思います。私たちが創業した2015年には、実は他にも多く家具のEコマースのスタートアップはありましたが、ほとんどが今は存在していないです。それは、彼らがマーケットプレイス型のEコマースを選び、あまり魅力的でない家具も含めて自社のECサイトに載せていたからです。そうすることで既存のマーケットと同じ問題を抱え、顧客体験が悪くなり、みんな潰れてしまったのだと思います。

その中でFabelioはどのような優位性を持っていますか?

他社との違いで言えば、顧客を第一に考えています。例えば、当日配送を行っているのは、私たちだけです。また、銀行を通じた分割払いにも応じています。その他、30日の返品保証、2年間の損失の保証などがあります。事業者としての観点で言うと、顧客と多くの接点を持つことで、顧客のニーズをより理解できるという点です。オンラインでは、自社のEコマースサイトからGoogle Analyticsで分析できます。WhatsAppなどのチャットツールを通じたカスタマーサービスでは顧客の声を拾えます。オフラインでは、ショールームと自社の配送チャネルがあります。例えば、配送時に、購入者から配送に関するアンケートに答えてもらっています。それらの全ての情報が家具のデザインからブランディングやマーケティングなどに活かされています。その中でも私たちが一番大事にしている強みは、顧客ファーストのマインドセットです。顧客からのクレームがあれば、経営陣がそれを社内コミュニケーションツールで掲示し、直ちに解決されるように促します。

次に、Fabelioの業績について可能な範囲内で教えてください。

家具のEコマースで、私達は7%のマーケットシェアを獲得しています。これまでに35万以上の商品を売っていて、1万3千以上のtoCとtoBの顧客がいます。45台のトラックと5つの倉庫でジャワ島の全域をカバーしています。

Fabelioの今後の展開について教えてください。

まず初めに、より良い顧客体験のために、私たちは常に、自社のウェブサイトを改善し、新しい機能を追加しています。二つ目は、より幅広い価格帯の商品、より多くのカテゴリーやブランドを追加することで、商品群をより充実させることです。三つ目に、より多くのショールームを展開することです。今年だけでも新たに10のショールームを追加する予定です。最後に、アプリのローンチを予定しています。こちらは、来年のQ1までに達成する予定です。

日本企業との連携に関して、どのような形がありうるのでしょう?

こちらについては、主に2点あります。まず初めに、資金調達があります。Fabelioは既にいくつかの日本のVCから出資を受けています。例えば、Spiral VenturesやKK Fundなどがそうです。シリーズCラウンドがまだ続いているので、こちらの投資に興味のあるVCを募っています。その他には、融資にも興味があります。次に、日本の企業との連携という意味では、家具企業との共同でのソーシングに興味があります。こちらも既にFabelioは、日本企業のベガコーポレーションと一緒にやっています。ベガコーポレーションからは、良質な販売店を教えてもらったり、インドネシアでどのような商品を販売するのが良いのかを特定するのに協力をしてもらっています。もしくは日本の家具メーカーの商品をFabelioのEコマースサイトを通じて販売するなどです。その他だと、モバイルマーケティングなどのテクノロジーにも興味があります。

最後に、インドネシアの市場に興味がある日本企業に向けてのメッセージをください。

私自身は、ドイツ人とインドネシア人の両親の元で生まれ、ドイツ出身ですが、インドネシアには未来と機会を見据えてやってきました。アジアの中でも、東南アジアが一番アツい市場で、その中でインドネシアは一番大きな国です。私にとって、インドネシアはまだまだ機会に溢れています。毎年のように新しいユニコーン企業が生まれています。もしかしたら投資家の方で、既に手遅れだと思われている人もいるかも知れませんが、最初の波を逃したと感じないことが大事です。計画をするのが最適な時期は、昨日ですが、2番目に最適な時期は、今日なんです。インドネシアの市場に参入するタイミングとして、早すぎるということでもないですし、遅すぎてもいないのです

※本記事は、提携先のインドネシアに特化するスタートアップメディア「Investnesia」の寄稿です。

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