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10月19日、アリババ・グループは280億香港ドル(約3900億円)で、大手スーパーマーケットを運営する「高鑫零售(Sun Art Retail Group)」の株式を買収することを発表した。これにより、アリババ・グループは直接、または子会社を通して間接的に高鑫零售の72%の株式を保有することとなり、高鑫零售を実質的に支配する。
高鑫零售は以前からアリババと提携してきた。2018年から、アリババに支援により、傘下のスーパーマーケット「大潤発」がデジタル・トランスフォーメーションを行っており、現在全国すべての店舗で、半径5キロ以内のオンラインでの注文なら、1時間以内に配達することができる。また、同じ都市内の注文を半日以内に配達するサービスに、180店舗が対応している。
高鑫零售傘下には大潤発のほか、フランスの食品スーパー「欧尚(Auchan)」の中国事業もあるが、高鑫零售とアリババがより重要視するのは大潤発である。現在、大潤発は徐々に倉庫機能を兼ねた店舗となっており、アリババの生鮮食品ECを支える重要な一部となった。また、今年に入ってから、高鑫零售はアリババのネットスーパーである「天猫超市(Tmall Super)」との提携をさらに進め、現在、両者は在庫を共有している。
こうした提携により、高鑫零售の業績は順調に伸びている。最新の中間報告によれば、既存店売上高は前年比で5.7%伸び、純利益は16.8%伸びた。売上高は531.7億元(約8500億円)で、上場しているスーパーマーケットのなかではトップである。
今回の買収後、アリババで「零售通(LST)」を担当する林小海氏が、大潤発のCEO補佐を1年間担当することも決まった。零售通は、アリババの零細小売店向け統合型プラットフォームであり、住宅地周辺の個人商店の仕入れを中心に、B2B事業を手掛けている。林氏は、大潤発と零售通のサプライチェーンを統合するという重責を担うことになる。
住宅地での共同購入事業において、高鑫零售は2019年にアリババの物流子会社「菜鳥(CAINIAO)」と提携しているが、現時点では16都市限定のサービスとなっており、大規模な展開には至っていない。
今年に入ってから、小売の市内即時配達事業をめぐる競争が激化している。生活関連サービス大手の「美団(MEITUAN)」は専門事業部を立ち上げ、EC大手「拼多多(Pinduoduo)」は生鮮食品ECを開始し、ライドシェア最大手の「滴滴(DiDi)」も参入した。そのなかで、アリババは生鮮食品ECでの優位性を確保すべく積極的に動いている。今回の高鑫零售買収は、生鮮食品ECをさらに強化する姿勢の表れである。おそらく今後は、アリババ傘下のフードデリバリーサービス「餓了麼(ele.me)」、生鮮スーパー「盒馬鮮生(Hema Fresh)」も、高鑫零售と大規模な提携を行うだろう。
(翻訳:小六)
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