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このほど、飲料水メーカーの「元気森林(Yuan Qi Sen Lin)」が、「瑞幸珈琲(luckin Coffee)」の元人事部門トップの冉浩氏を招聘したことがわかった。
瑞幸咖啡は2020年4月2日に22億元(約330億円)に上る売上の水増しを認め、株式は取引停止となっている。今現在も投資家からの損害賠償訴訟が続いており、企業としても名声が地に落ちたため、同社の管理職が相次いで離職している状態だ。一方の元気森林は、創業から3年間で評価額が140億元(約2100億円)を超えたユニコーンだ。
コーヒー飲料市場に進出する元気森林
元気森林の最も有名な商品はスパークリングウォーターで、ほかにも数十種類の飲料水を販売している。同社の社員は約3000人、うち300人以上が開発職で、開発力を非常に重要視する企業だと言える。
スパークリングウォーター以外のヒット商品を生み出そうと、元気森林は様々な試みを行っている。瑞幸珈琲のスキャンダルが明るみに出ると、これまでコーヒー飲料を作っていなかった企業がコーヒー市場に参入するようになったが、元気森林も持ち前の開発力で、新たにコーヒー飲料を発売した。
元気森林はかねてよりコーヒー市場に強い興味を示してきた。同社創業者の唐彬森氏は、2017年に「Never Coffee」というコーヒースタートアップに出資しており、持ち株比率は20%である。また、今年10月に、元気森林がコーヒー飲料を2種類発売するとの情報が流れた。これらに対し、元気森林の担当者は、Never Coffeeへの出資に元気森林は関わっておらず、新発売する2種類のコーヒー飲料は元気森林の商品ではなく、子会社の商品だと説明し、コーヒー市場への興味を否定した格好だ。
しかし、冉浩氏を招聘したことは、元気森林の姿勢を明確にしたと言える。冉氏はコーヒー業界に強いパイプを持つため、元気森林はそれを利用し、コーヒー市場での展開を拡大したいと考えていると見てよいだろう。
複数のヒット商品を作れるか
中国の飲料水市場では、著名な企業においても、中核となる1種類の商品が企業全体を牽引する状況がよく見られる。「農夫山泉(Nongfu Spring)」のミネラルウォーター、「康師傅(Master Kong)」のアイスティーがそうであり、コカ・コーラ、レッドブルといった海外の大手もその例に漏れない。
この状況は同時に、特定の飲料水には絶対的な王者がいることを意味する。中小企業が同じ商品で勝負をしかけても勝算は薄い。そのなかで元気森林が成功を収められたのは、スパークリングウォーターという中国では未開拓の市場を開拓できたためだ。
しかし、コーヒー飲料にはすでに複数の企業が参入してきており、人気商品が一定の地位を築いている。元気森林が既存の商品と差別化できるかどうかが焦点となるだろう。
また、スパークリングウォーターの競争が激化していることも、元気森林が警戒しなければならない要素だ。スパークリングウォーターでは、今年だけで茶飲料チェーンの「喜茶(HEYTEA)」、「奈雪の茶(NAYUKI)」、漢方茶大手の「王老吉」が独自商品を発売している。上記各社の販売力は、元気森林に勝るとも劣らないもので、元気森林としては、この競争を勝ち抜いてさらに成長することが目下の課題だろう。
個人消費市場に対する野心
元気森林創業者の唐氏は、飲料水だけではなく、個人消費市場全体に打って出ようとする野心を持っている。彼は2014年にVCを創設し、飲料水、アルコール飲料、インスタントラーメンなど、個人向け食料品、飲料水分野に積極的に投資している。
唐氏のVCは、投資後に積極的に経営に関わるのが特徴で、これまで複数のヒット商品を生み出してきた。その方法はいずれも、海外ですでに定着した人気商品の特長を学び、中国国内市場の既存商品との違いを明確に打ち出すというものだ。コーヒー市場においても、この手法で勝ち抜くことができるのか、市場の反応が楽しみだ。(翻訳:小六)
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