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中国発の木製工芸によるバッグブランド「端木良錦(Duanmu)」がシリーズAで約1000万元(約1億7000万円)を調達した。リード・インベスターは「挑戦者資本(Challenjers Capital)」、コ・インベスターは「峰瑞資本(Frees Fund)」。2018年にはエンジェルラウンドで「漢今国際(China Today International)」から、2019年末にはプレシリーズAで挑戦者資本と「蜂巧資本(Borchid Capital)」からそれぞれ資金調達を行っている。
端木良錦は2011年に設立され、当初は骨董品や芸術品向けの外装ケースの製作を主要業務としていたが、2016年に消費財ブランドにビジネスモデルを変更し、木製工芸技術をベースに織物と皮革を取り入れたバッグとアクセサリー製作を行っている。
同社の製品シリーズは、唐代以前の芸術様式に焦点を当てた中国の伝統的なデザインを取り入れている。創業者の祁天氏は、「宋代以降に比べ唐代以前の文化はより開放的で、中国と外国との文化的交流が多く、外の世界から養分を取り込んで昇華し、さらにそれを輸出していた。その時代の文化と芸術性の高さはヨーロッパの文明に匹敵するほどだ」と語る。端木良錦は、世界の文化を取り入れた当時の融合的な芸術様式をブランドの価値として発信していきたいと考えている。
端木良錦には現在、手提げ、肩掛け、クラッチなどを含むバッグ製品が200点以上あり、価格は2~4万元(約33~67万円)となっている。これ以外にも手鏡、櫛、カードケースなどを含むアクセサリー製品や、装飾画、スカーフなどのインテリア・ファッション製品にもラインアップを拡大している。
祁氏によると端木良錦は素材と製作過程において従来の枠を飛び越え、自由な創作を行っている。素材は、深部まで染色を行った木製の素材を使用している。このような特殊素材はこれまで高級な建物や車の内装などでしか使用されてこなかったが、端木良錦はこれらの素材を初めてバッグやアクセサリー製品に用いた。製作過程においては伝統的な象嵌細工を再現してそれを改良し、模様と図案の表現に用いている。
端木良錦と国際的な高級ブランドの消費層は、重なる部分もあるが異なる部分もある。重なる部分は社交的な需要が強い富裕層の人たちで、高品質な製品を持つことがステータスシンボルとなるため、端木良錦の製品は話題性を持つ社交ツールとして人気がある。しかし贅沢品には興味のない層にも端木良錦のファンは存在する。芸術や文化にかかわる人たちだ。これらの人たちは端木良錦のブランドポリシーや芸術性に賛同し、製品を購入することでその価値観を肯定している。
同社の実店舗は2020年時点で北京の「国貿商城(China World Mall)」「王府中環(WF Central)」「798芸術区(798 ArtDist)」に3店舗あり、今年2月には上海の「港匯恒隆広場(Grand Gateway 66)」にも出店を果たした。
端木良錦の製品は手作業で造られており、製作プロセスが多く複雑だという。1点のバッグを仕上げるのに6カ月あまり必要となる。これまで生産能力と店舗販売に必要な在庫量はバランスがとれていたが、店舗が増えるにつれ在庫が足りなくなり、現在は顧客が来店してもその場で製品を購入できず予約が必要となっている。
同社の従業員は生産チームが半分以上を占め、今年に入って生産拠点を河北省の張家口に移した。生産能力のボトルネックを技術の向上と組織の拡充によって解決し、製品の安定供給を実現したいと考えている。店舗展開はむやみに新規出店舗を進めず、既存店の特色やサービスをブラッシュアップし、販売効率を上げていきたいとしている。中国国内市場をより深く開拓するため、実店舗の出店には国際的ブランドが多く入居するショッピングモールを選択している。
祁氏は端木良錦について「世界的な高級ブランドのコピーではない。象嵌細工と木製工芸はほかのブランドと明確な差別化があり、ブランドポリシーも異なっている。端木良錦の原点は消費者に中国の伝統工芸と芸術性を伝え、その美しさに関心を持ってもらうことにあり、社会的な意義を持った持続可能ななブランドとして地位を築くことにある。贅沢品であるかどうかは市場が判断することだ」と述べている。
(翻訳・普洱)
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