ビリビリ動画、モバイルゲーム開発のCMGE株を7%超取得 業界再編に拍車

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モバイルゲーム開発の「CMGE(中手遊)」は4月29日の公告で、動画配信大手「ビリビリ(Bilibili)」など3社と株式譲渡契約を締結し、同社株式の7.15%にあたる1億9800万株をビリビリが取得したことを明らかにした。ビリビリは持ち株比率を5%以上とし、非執行董事(非常勤取締役)1名の指名権を持つこととなった。

ビリビリは2014年以降、ゲーム分野で20件以上の投資を行ってきた。つい先ごろも、ゲームメーカー「心動網絡(X.D.Network)」の株式の4.72%を取得している。なお、同社およびその関連企業は今年に入ってから「成都洛斯特网络科技(Chengdu Lost Network Technology)」「成都東極六感信息科技(Chengdu EBGAME InfoTech)」および「杭州天空盒科技(Hangzhou Sky Box Technology)」の株式を取得している。同社の持ち株比率はそれぞれ、20%、10%、18%となっている。

今回株式を取得したCMGEの特殊な点は、同社自体が複数の人気ゲームを開発していることに加え、バイトダンス(字節跳動)やテンセント(騰訊控股)などと密接な関係を結んでいることにある。

バイトダンスはこれまでに、CMGEが開発した「全明星激闘(ALL STAR FIGHT)」と「航海王熱血航線(One Piece Fighting Path)」の独占代理権を獲得し、最低保証金に関する契約も結んでいる。テンセントは同社開発の「真・三国無双 覇」を代理発行している。

また、CMGEとバイトダンス傘下のゲームブランド「朝夕光年(Nuverse)」が共同出品による航海王熱血航線は4月22日に正式リリースされ、同日のApp Storeの無料アプリ総合ランキングで1位、人気ゲームランキングで7位を獲得した。

ゲーム事業はビリビリの重要な収益源の一つだが、ここ3年で総収益に占める割合は下がり続けており、同社の収益構造が健全化に向かっていることを示している。一方、同社は長い間、誰もが納得するようなゲームを自社開発できていない。独占代理権を持つ人気ゲーム「プリンセスコネクト!Re:Dive」ですらも「Fate/Grand Order」の成功を再現するまでには至っていない。

自社開発ゲームが市場に受け入れられるかは、確実性に乏しい。人気タイトルを生み出せていないビリビリにとって、CMGEは悪くない投資対象だろう。

ゲームメディア「遊戯葡萄(Youxi Putao)」がゲームメーカー30社を対象に調査したところ、今年第2四半期に最も多くゲームをリリースする予定なのはCMGEであることが明らかになった。しかも、現在の同社の時価総額は過去になく低いレベルとなっている。

ゲーム大手と動画配信大手は今年、こぞってゲーム関連企業への投資と買収を加速させている。テンセントは第1四半期だけでも29社に投資。投資件数は、すでに昨年通年の3分の2に達している。バイトダンスは、ゲームメーカー「沐瞳科技(MOONTON)」の買収にあたり、昨年の営業利益の半分以上に相当する40億ドル(約4400億円)を投じた。上場企業に準じるクラスの企業を買収するのと同等の金額だ。

「miHoYo(米哈遊)」をはじめとする新興ゲームメーカーは、従来のチャネルを避けてビリビリとの共同運営を選び、寡占状態に陥りがちなゲーム市場での成功を勝ち取った。動画配信大手は、巨額の収益が見込めるゲーム市場を掌握する方法を知っている。ゲーム開発には高いハードルと制御不能な多くの要素が存在する。より確実な方法は、人気ゲームを開発する企業の買収だ。今後は、ゲームメーカーと動画配信大手の統合がさらに進み、既存のゲーム配信大手に対するプレッシャーが増し続けると予測される。
(翻訳・田村広子)

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