史上最もつまらないiPhone発表会。スマホの次を探すアップル
アップルの新商品発表会の前に、こんな情報が流れてきた。ティム・クックCEOが引退し、現小売り・オンラインストア担当上級副社長のアンジェラ・アーレンツ氏が後任に就く。
その情報は実現しなかったが、アーレンツ氏昇格説に根拠がないわけではない。今年初めの株主総会で、クック氏は後任について言及し、アーレンツ氏が候補者の一人であると話していたからだ。
アーレンツ氏はバーバリーからアップルに移り、アップルストアの再定義を主導した。彼女の就任前、アップルストアの役割は新商品の展示とアフターサービスで、オンライン販売隆盛の中、存在感が薄れていた。
アーレンツ氏はアップルストア改革に着手し、「都市の広場にする」と宣言した。
おそらく彼女はアップルとバーバリーの共通点を、「ライフスタイル企業」という点に見出したのだろう。しかもアップルはより積極的に、人々の生活に影響を与えている。
クックCEOは発表会で、すでに20億人がiOS搭載の端末を保有しており、アップルは人々の生活、消費、娯楽に根付いていると語った。さらに、Apple Watchは、「接続、運動、健康」というライフスタイルに入ろうとしている。
発表会では、フィットネス、健康、ヨガ、バスケといった言葉が登場した。しかし私たちは思う。過去10年、テック消費市場を引っ張ってきたアップルに対して、もう「イノベーション」の冠は使えないのではないだろうか。

iPhone Xに比べると、iPhone XSのアップグレードは、前機種の改良にすぎなかった。iPhone XS Maxもディスプレイが大きくなっただけだ。最大の魅力は、イノベーションでもなんでもない「デュアルSIM」だ。
今回は、史上最もつまらないiPhone発表会だった。2007年に登場した初代iPhoneは革命だった。2年に1度は大きなアップグレードがあり、小さなアップグレードでもSiri、指紋識別、3Dtouchなど、何か心に響く新機能がついていた。今年は本当に驚きがなかった。

この10年、アップルは何らかのサプライズをくれた。しかしそれは、1年で完成するプロジェクトではない。iPhoneXは4年前に始まったプロジェクトだ。今年、新しい技術が何も搭載されなかったのは、おそらくビジネス上の理由ではなく、スマホ技術が踊り場に立っているということだろう。
スマホ技術の踊り場と市場の踊り場が同時に到来し、スマホもパソコンと同じような存在になるのだろうか。iPhoneもMacBookのように、公式サイトで新商品が発表される日が来ると予測する声もある。
だからアップルは、iPhoneの次を探す必要がある。

ウォール街は、アップルの次の成長事業が、ウェアラブルデバイスから登場するとみている。今回のApple Watch Series 4は、それを裏付ける商品だった。
Apple Watchの更新スピードは、以前のiPhoneを思わせる。Apple Watch Series 4はiPhone 4のように、一里塚的な作品だ。デザインを一新し、ディスプレイが大きくなり、表示される情報が増えた。短時間なら、iPhoneから独立して使うことができ、今後の「自立」を想定しているように見える。
iPhoneは人々の生活を一変させたが、いつも身に着けていられる腕時計なら、人々の生活の細部にさらに入り込める。

テック企業がコンシューマー企業に変質するのは、悪くない選択だ。忠実な顧客を持ち、財務が健全な優良企業アップルは、コンシューマー企業と割り切ってしまえば、イノベーションうんぬんを取りざたされることもなくなる。
アップルの栄華は続いているし、多くの選択肢があることは間違いない。だが、2010年前後のノキアも同様に隆盛を誇り、多くの選択肢があったことを忘れてはならない。
(翻訳・浦上早苗)