「月1回の肥満治療薬」で120億円調達、セマグルチドの次を狙う中国GLP-1新薬の勝算
中国のバイオ医薬品開発企業「質肽生物(QL Biopharmaceutical)」はこのほど、シリーズCで5億元(約120億円)以上の資金調達を実施した。奥博資本(OrbiMed)が主導し、啓明創投(Qiming Venture Partners)、五源資本(5Y Capital)、既存株主の泰福資本(TF Capital)や藍馳創投(Lanchi Ventures)などが参加した。
質肽生物は2018年設立、主に組換えタンパク質医薬品の開発に取り組み、慢性代謝疾患の分野で超長時間作用型、経口ペプチド、多標的型などの新薬を開発している。
近年、血糖降下と体重減少作用を持つGLP-1受容体作動薬の開発競争が激化しており、創薬企業は他社との差別化を図るべくしのぎを削っている。開発の重点は、半減期がより長く、投与頻度を月1回に抑えた製剤の開発による患者の服薬継続性の向上、減量効果や心血管関連のリスク低減など治療効果の向上、副作用や服薬中止後のリバウンドなど安全性に関する問題の改善、経口剤など投与形態の見直しなどに重点を置いている。
質肽生物が開発した長時間作用型ペプチドGLP-1受容体作動薬「ZT002」注射液は、減量を目的とした第Ⅲ相臨床試験を2026年1月に中国国内で実施し、最初の被験者への投与が完了した。ZT002の臨床試験の進捗状況は、月1回投与する同種の新薬候補と比べてもかなり先行しているという。
ZT002の第Ⅱ相臨床試験では、月1回160mgを投与した被験者について、24週目の体重減少率は13.8%に達し、停滞期は認められなかった。消化器系の副作用による投与中止もほぼ認められなかった。
ZT002は、2型糖尿病やアルツハイマー病、代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)などの適応についても、中国国家薬品監督管理局(NMPA)から新薬臨床試験許可を取得している。
同時に、経口ペプチド型GLP-1受容体作動薬「ZT006」錠も、減量目的の第Ⅱ相臨床試験を実施している。また、GLP-1/FGF-21 (線維芽細胞増殖因子21)を標的とする二重作動薬「ZT003」注射液は、MASHを対象にオーストラリアで第Ⅰ相臨床試験が進められている。
このほか、既存のGLP-1受容体作動薬「セマグルチド」のバイオ後続品「ZT001」は糖尿病と減量を適応とし、それぞれ東宝薬業(Dongbao Pharma)、愛美客(IMEIK)と提携して、臨床開発と商用化を加速している。
技術面では、慢性代謝疾患病分野で長時間作用型ペプチド、経口デリバリー技術、融合タンパク質技術などの特許技術を有する。
2025年末には生産拠点が商業生産に向けた製造許可を取得しており、初期の研究開発からパイロットスケール、商用化まで対応可能な体制を構築している。
質肽生物の創業チームには、糖尿病や肥満症の治療薬の開発で有名なデンマークの製薬会社ノボノルディスクの出身者が多くいる。創業者であり代表取締役兼CEOの張旭家氏もノボノルディスクで開発副責任者を務め、大腸菌組み換えタンパク質技術の開発を指揮したほか、30件以上の研究開発プロジェクトに携わった。
GLP-1関連薬は今後も長期にわたって動向が注目される分野であり、半減期延長や新たな剤型の開発、適応症の拡大などにより市場拡大が加速することが見込まれる。
*1元=約23円で計算しています。
(翻訳・36Kr Japan編集部)