上場から1年、ソフトバンクの後押し受け海外展開加速する衆安保険

アリババ傘下の螞蟻金服(アントフィナンシャル)、騰訊(テンセント)、中国平安保険の3社が中心となって2013年に設立した中国のインターネット専業保険最大手、衆安在線財産保険(以下、衆安保険)が香港で上場して1年経った。同社が事業の調整を進め、決算の内容も明らかになる中で、上場前に取りざたされていた「株主への依存度が高すぎる」という懸念は解消に向かっている。一方で、テクノロジーと保険を融合した「インステック」の先駆けである同社は、短期的にはなお巨額の投資を必要とし、赤字が続く見通し。

衆安保険は最近、グローバル化を加速している。アントフィナンシャルからスタートアップまで、フィンテック企業は技術の海外展開を模索しており、グローバル化は当然の流れだ。ただ、他の企業と違うのは、衆安保険がソフトバンク・ビジョン・ファンドの強力な後押しを受け、海外展開を進めている点だろう。

香港上場3カ月後の2017年12月、衆安保険は香港法人「衆安国際」を設立、グローバル化の一歩を踏み出した。また、今年8月の中間決算発表では、衆安国際がソフトバンク・ビジョン・ファンドと2億ドルを拠出して合弁会社を設立し、海外企業にテックソリューションを販売する計画が明らかになった。

合弁会社の出資比率は衆安国際が49%、ソフトバンクが51%。資本上はソフトバンクが優位だが、衆安国際は3人の取締役のうち2人を送り、経営を主導する。

衆安国際の許煒総裁は36Krに対し、「ソフトバンクはグローバル市場で大きな影響力を持っており、同社が投資する企業は、わが社にとって素晴らしい資源にもなる」と提携の理由を語った。

衆安保険はアジアを皮切りにグローバル化に着手する。アジアは世界で最も保険の普及率が低く、インターネット保険が切り込む余地は大きい。2025年までにインステックがアジアの保険業界のコストを年3000億ドル(約34兆円)減らすとの試算もある。

衆安保険はシンガポール、タイ、マレーシア、日本、韓国に進出している。東南アジアでは、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが出資するモバイル決済やEC、ライドシェア、オンライン旅行企業などと協業が期待できる。

許煒総裁は、「ソフトバンクが出資する企業は、全て事業パートナーになりうると考えている。また、ソフトバンクの海外事業経験にも大きな価値を感じている」と語った。

もっとも、許煒総裁は「グローバル事業は2、3年準備を続けてきたが、まだほかにやるべきことがある」とも強調する。

衆安保険の収入は増えているが、テック投資も同じように増加し、2018年前半の赤字額は6億6700万元(約110億円)に達した。事業規模が拡大すれば、収入に占めるコストは下がり、規模の経済が効いてくるだろうが、現在はインターネット保険業界は各社が勢力拡大途上で、当面は赤字が続く見通しだ。

(翻訳・浦上早苗)

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