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ロボット開発企業「可以科技(KEYi Technology)」が先日、シリーズBで数千万ドル(数十億円)を調達したことがわかった。スマホ・IoT家電大手のシャオミ(小米)、「順為資本(Shunwei Capital)」が出資を主導、既存株主の「源碼資本(Source Code Capital)」「藍馳創投(BlueRun Ventures)」も出資した。創業者でCEOの楊健勃氏は今回調達した資金について、開発者エコシステムの構築や製品開発に充てるとした。
可以科技は2014年に設立。一般消費者向けロボットを手掛けている。産業レベルの制御アルゴリズムをSTEM教育ロボット「ClicBot」に応用し、制御技術、センシング技術、AIなどを取り入れた。モジュール化したロボットシステムを用いて、異なる地域・年齢のユーザーがコンテンツを制作・シェアできるプラットフォームを構築している。ClicBotの遊び方は多くの可能性に満ちており、ユーザーがたくさん遊ぶことでさらに面白くなっていく。
可以科技はロボットエンジニア、アルゴリズムエンジニア、デザイナーなどから構成されており、中核となるメンバーは海外の研究所や大学などで経験を積んでいる。
ClicBotのプロジェクトは昨年、米クラウドファンディングサイト「Kickstarter」で発表され、世界80カ国余り、1678人の支持者から目標額を40倍近く上回る90万ドル(約1億円)以上を集めた。米経済誌フォーブスが今年3月に発表した教育ロボット10選ではClicBotが最も優れたプログラミングロボットと評されている。現時点で世界に1万人を超えるユーザーを擁し、最近になって中国国内でもリリースされ、オンラインと店舗で販売されている。将来的には製品のモデルチェンジと多様な形式のコラボレーションを通じ、国内市場をさらに開拓していくという。
ClicBotは教育的側面が大きく、三段階のプログラミングが体験できる。まず簡単にモジュールを組み合わせてプログラムを作成し、ロボットを動かす。次段階はドラッグ&ドロップで操作するノーコードプログラミングに挑戦し、最終段階では上級者向けのプログラミング言語Python(パイソン)を利用してオリジナルのアクションを作る。
楊CEOは「ClicBotと従来の一般消費者向けロボットはコンセプトが異なる」と話した。モジュールを組み合わせることで、ユーザーは1万パターンを超えるオリジナルのロボットを制作できるからだ。ある時はツールとして、またある時はペットやゲーム相手として、ユーザーはClicBotをおもちゃとして楽しむこともでき、創作や学習にも利用することができる。
可以科技はClicBotのコミュニティも構築している。コミュニティではClicBotに関するアイディアが世界中から毎日集まり、討論され、進化している。コミュニティのメンバーは一般ユーザー、コンテンツ制作者、開発者で、開発者とユーザーで意見を交換したり、協力して新しいコンテンツや遊び方を生み出したりもできる。コンテンツを互いにシェアする側面もあり、ユーザーは他のユーザーが作り出したコンテンツを楽しめるほか、一部のユーザーがコンテンツ制作者となることもある。
消費者向け電子製品が直面する課題としては、模倣やリバース・エンジニアリング(既存製品やソフトウエアを分解または解析し、製造法や技術情報などを探り出すこと)などがある。これに対し楊CEOは「可以科技は他社と共に市場への普及を進めていくことを望んでいる」と話した。しかし、可以科技が持つ強みは大きい。現時点の中国ではモーションコントロールシステムなどの分野で技術的に突出した企業が少ないことや、ClicBotのコアパーツが製造技術から塗装まで長期にわたるブラッシュアップを経ていること、さらにClicBotはハードウエアだけの製品ではなく、ソフトウエアやアプリなどを頻繁にアップデートしていることなどが理由だ。
シャオミからの出資と提携について楊CEOは、可以科技がロボットや製品デザインで持つ技術と、シャオミが持つAI技術、販路やサプライチェーンなどの面で緊密に提携してロボットを開発していくとした。また、シャオミと提携することによって、より多くの人々にメタバース(インターネット上の仮想空間)ロボットの世界を体験してほしいと話した。
(翻訳・山口幸子)
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