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7月30日、上海市でNIO(蔚来汽車)のSUV「EC6」が衝突事故を起こし、発火してドライバーが死亡したのに続き、8月12日、NIOのSUV「ES8」を運転していたドライバーが、NIO独自のナビゲーション補助機能「NOP(Navigation on Pilot)」を稼働させ高速道路を走行中に衝突事故を起こし亡くなった。ドライバーは31歳で、投資家・実業家として一定の知名度を持つ人物だった。
NIOは「NOPは自動運転機能ではない。詳しい情報は交通警察の調査結果を待ちたい」としている。
テスラに続きNIOも
米テスラの車両も2016年に中国で同様の事故を起こしている。同年1月、同社の先進運転支援システム「AutoPilot」を稼働させて高速道路を走行していた車両が作業中の路面清掃車に衝突。ドライバーは死亡した。
低速で作業中の、ほぼ停車状態の特殊車両。上記の事故における特徴だ。今回のNIOの事件も条件がほぼ重なる。
NIOとテスラが用いるセンサーソリューションは似ている。いずれもイスラエルのMobileye社のカメラを採用している。テスラの5年前の事故車両はMobileyeの車載用画像認識SoC「EyeQ3」とアルゴリズムを採用しており、今回のNIOの事故車両では「EyeQ4」とミリ波レーダーをもう1台搭載していた。
静的物体を探知することは、人の視覚にとってはたやすいことだ。しかし、自動運転システムにとっては業界全体で取り組むほどの難題だ。ある自動運転技術開発企業の幹部によると、カメラは光線や雨・雪などの悪天、障害物など外的要因に大きく左右される。目標物の認識を行えるようになるまでにモデル構築のトレーニングを大量にこなす必要があり、形状が一般車とは異なる作業車両は、画像認識アルゴリズムでは捉えられない目標物である可能性が高い。
一方、ミリ波レーダーは街路灯やガードレール、トンネルの入口など、動かない目標物を無数に捉える。そのため、多くのメーカーは有用な情報だけを抽出できるよう試みる。アルゴリズムを使って(不要な)目標物をふるい落とすのだ。ふるい落とす目標物が少なすぎれば、無駄なブレーキを頻繁に踏むことになる。高速道路では危険な行為だ。また、ふるい落とす目標物が多すぎれば危険を見逃すことになり、衝突事故へとつながる。
業界共通の問題はいまだ解決していない。自動運転中のテスラ車のような悲惨な事故は後を絶たない。
実は、NIOのカーオーナー向けマニュアルには「NOPは他の先進運転支援システムと同様に運転を快適にする機能であり、衝突回避機能を備えているわけではない。本車両と先行車両の相対速度が時速50キロを超えた状態で、先行車両が停止あるいは徐行した場合、NOPはブレーキを作動させない可能性がある」と明記している。それでも激しい市場競争を前に、多くの企業には「自動化」というセールスポイントで消費者の目を惹きたい心理がある。消費者側はこうした文言に惑わされ、マニュアルに明記されている注意喚起や責任条項を見落としがちだ。
一連の死亡事故後、テスラのイーロン・マスクCEOは製品発表会でも「It’s autopilot, not autonomous(あくまでAutoPilotであり、決して自動運転ではない)」と言わざるを得なくなった。今回のNIOの死亡事故を受け、自動車業界は「運転補助」機能を「自動化」と言い換えるのはただちに控えなくてはならない。
(翻訳・愛玉)
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