TikTok運営元バイトダンス、音楽配信アプリ「飛楽」を間もなくリリースか 

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ショート動画アプリ「抖音(Douyin、海外版はTikTok)」を運営するバイトダンス(字節跳動)が、今年中にも中国国内向けの音楽配信アプリをリリースするようだ。アプリの名称は現時点では「飛楽(Feiyue)」とされている。プロジェクト内部では「luna」と呼ばれ、抖音チームが開発を進めている。

この件についてバイトダンスに確認したが、記事執筆時点では回答を得られていない。

バイトダンスの音楽事業はアプリとミドルオフィス(市場、アルゴリズム)という二つの部門で構成されている。アプリ部門は、バイトダンスの製品・戦略担当副社長であり、元TikTokトップの朱駿(Alex Zhu)氏が率いる。同氏直属の部下は、海外向け音楽配信アプリ「Resso」と楽曲データベースの責任者・曹禎氏、海外の著作権関連業務の責任者・Ole Bermann氏、国内の楽曲著作権関連業務の責任者・陸瑒氏だ。ミドルオフィス部門は、抖音チームが国内のアーティストとの提携や著作権、宣伝などを担当。アルゴリズムチームが楽曲レコメンドシステムやセキュリティ、リスク管理など技術面をサポートする。

バイトダンスが音楽事業に着手したのは2019年だ。国内向け音楽配信サービスプロジェクト「W(仮称)」を打ち出したものの、著作権を持つ楽曲の不足や製品の位置づけの曖昧さなどから失敗に終わっている。

同プロジェクトは途中で音楽SNSへと方向転換し、約1年にわたって内部テストを行ったが、昨年中には中止している。当時、抖音の人気ランキング1000位以内に入る楽曲のうち、バイトダンスが著作権を持つ楽曲は10%にも満たなかった。

バイトダンスは昨年3月、インドで音楽配信アプリ「Resso」をリリースし多くのユーザーを獲得した。その一方、中国国内ではテンセント(騰訊)が楽曲の著作権を長期にわたって独占しており、著作権の面で強みを持たないバイトダンスの事業展開を困難にしていた。

今回、中国政府がテンセントに対して独占禁止法を適用したことでバイトダンスに新たなチャンスが巡ってきた。中国国家市場監督管理総局は今年7月24日、独禁法に基づいてテンセントに対し、同社が独占的に保有する音楽配信権に関する契約を30日以内に解除するよう命じる行政処分を出している。

テンセント傘下の「テンセント・ミュージック・エンターテインメント(TME)」、ネットイース(網易)傘下の「ネットイース・クラウド・ミュージック(網易雲音楽)」に比べ、バイトダンスが音楽事業を手掛ける最大の強みは抖音のアクセス量にある。バイトダンスが独立系アーティストと契約をすればより大きな強みとなるだろう。TMEの関係者は、今後は独立系アーティストが音楽配信プラットフォーム間の競争において重要な点になってくるだろうと話す。楽曲の独占配信契約ができなくなれば、プラットフォームは著作権の買い占めで優位に立つことができなくなる。独立系アーティストをサポートすることでコンテンツの差別化をはかるのが現時点で最も有効な方法と考えられているのだ。

バイトダンスは今年7月、音楽配信代行プラットフォーム「銀河方舟(STARNATION)」の内部テストを開始していた。これは楽曲配信を代行することで、アーティストから手数料を徴収するビジネスモデルだ。

バイトダンスは音楽配信メディアと楽曲の配信代行という二方向から音楽事業を進めていくようだ。前者では著作権の購入や抖音との連動を通じ、独立系アーティストとともに他と差別化できる音楽コンテンツの制作を行い、後者では著作権の管理と楽曲の配信代行から利益を得ていく。

(翻訳・山口幸子)

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