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「生き延びること」という切実な目標から1年。中国通信機器大手ファーウェイは次なる目標として「質を維持しながら生き残ること」を掲げた。
ファーウェイ輪番会長の徐直軍(エリック・シュー)氏は、9月に開催した年次イベント「HUAWEI CONNECT 2021」で今後の方向性について言及。今後も研究開発への投資を続け、スマートフォン事業とクラウドサービス拡大に注力するほか、独自OSの「Harmony(鴻蒙)」と「openEuler(欧拉)」の構築を進めるなどの基本姿勢を明らかにした。
チップ調達困難でもスマホ事業は死守
ファーウェイの三大事業の一つ、スマートフォンを含むコンシューマー事業の売上高は、今年上半期に前年同期比47%減少し、同社の総売上高を大幅に引き下げた。調査会社IDCの統計によると、中国スマホ市場で7年近くトップシェアを維持してきたファーウェイが、今年第2四半期に初めて5位圏外に転落している。
今年リリースされたフラッグシップ機「P50」や9月末に発表されたばかりの「nova9」は、米政府の制裁により5Gチップを確保できず5G非対応となっており、挽回のための足がかりすら作り出せていない状況だ。
このため「ファーウェイはスマホ事業を売却するのでは」とささやかれてきた。
しかし徐直軍氏はHUAWEI CONNECTに伴う会見で「スマホ事業を断念することも、売却することもあり得ない」と強調した。関心を集めているチップ問題については「中国の半導体産業と協力しながら、問題解決に取り組んでいるところだ」と語った。
クラウド事業は中国2位に
スマホ事業が暗礁に乗り上げてから、ファーウェイは法人向け事業に軸足を移してきた。そこで注目されたのがクラウド事業だ。
過去1年の間に、「クラウド・AI」事業はビジネスユニットからビジネスグループに格上げされ、その後またビジネスユニットに戻るという変化を経て、最終的に「ICT製品・ソリューション」部門に落ち着いた。
度重なる組織調整について徐直軍氏は、クラウド事業の位置づけは一貫して変わっていないと説明する。組織構造を調整する目的はクラウド事業をさらに成長させることであり、この目的に沿ってさまざまな試みや調整を行ってきたという。
目に見える製品の販売からクラウドサービスの販売に転向するのは、決して容易なことではない。クラウド事業について言えば、ビジネスモデルの転換で最も難しいのは研究開発ではなく、すでに構築した販売体系やセールスチームの刷新を含めた販売面なのだと、徐直軍氏は語る。
クラウド事業を巡る一連のビジネスモデル転換の効果はすでに現れ始めている。市場調査機関Canalysの報告によると、中国のクラウドインフラ市場は2021年第2四半期に54%増加して66億ドル(約7300億円)に達しており、ファーウェイのクラウド事業はシェア19.3%で2位につけている。
ファーウェイの強みと言えるのが、政府機関向けの「政務クラウド」だ。「我々は投資せず、株式取得せず、会社設立もしないという方針を定め、揺らぐことなくひたすらクラウドサービスの販売に打ち込んでいく。その目的は政府が発行する公共サービスなどのアプリケーションをクラウド上へ移行するように促すことだ。継続的な運営を行うことで、政府もその価値を認めるはずであり、我々も持続的な収益を上げることができる」
今年、人々の関心を集めた別の話題は自動車製造に関するものだろう。少し前には、ファーウェイが中国自動車大手の北京汽車集団(BAIC)、重慶長安汽車(Changan Automobile)、広州汽車集団(GAC)などをスマートカー事業の提携パートナーに選び、サブブランドを立ち上げるとの情報が流れた。しかし自動車業界への参入に関しては、ファーウェイ幹部が公式の場で幾度も自動車製造は行わないと強調している。
徐直軍氏はメディアに対し「なぜ自動車メーカーになる必要があるのか。もうけを出せている自動車メーカーがどれほどあるだろう。むしろクルマを作らないほうが稼げるのかもしれない」と語り、人々がこぞって自動車製造に参入する時ほど、冷静になる必要があるとの見方を示した。
「生き延びるのに必死な時ほど、何をすべきか、すべきでないかがはっきり見えてくるものだ」
作者:全天候科技(WeChat ID:iawtmt)、于恵如、編集:羅麗娟
(翻訳・畠中裕子)
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