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ティファニーの財務報告によると、2018年第3四半期は増収減益となった。売上高は前年同期の9億7620万ドル(約1100億円)から10億1千万ドル(約1140億円)に増加したが、市場予想の10億5千万ドル(約1190億円)には及ばなかった。純利益は前年同期比5.2%減の9490万ドル(約107億円)で、一株当たり当期利益は前年同期比3.8%減の77セントとなった。不調の原因は中国人旅行者の支出が失速したことだとした。
最高経営責任者のAlessandro Bogliolo氏によると、高級品を好む中国人消費者の3分の2は海外で購買していたが、米中貿易戦争や人民元下落により、海外での消費に陰りが見えてきたという。
米中貿易摩擦と人民元の下落は、一方で、原材料費とマーケティングコストの増加も引き起こしている。上半期の支出は15%増加し、増収額を超えた。同社は「中国経済の減速により収支にマイナスの影響が出る恐れがある」としている。また、中国政府が「代理購入」を締め出しにかかっていることも、海外での消費を減少させている。
中国は贅沢品の最大消費市場とされている。世界の売上高の50%を担っており、中でも中国の若い世代が消費の中心となっている。彼らのオンラインショッピングに対応するため、商品をカスタマイズしたり、豊富にバリエーションを揃えるなど、高級ブランドはよりeコマースを重視するようになってきている。
ティファニーは今年8月、ティーモール・ラグジュアリーパビリオン・チャンネルにおいて新商品を発表し、ポップアップストアを開いた。店舗は創造型・体験型にシフトしている。7月には、ロンドンに体験型の新コンセプトストアを開店し、商品を販売する以外に、パフォーマンスや芸術展、アニメーション展など様々な活動を行っている。
若い世代の目を引くため、クリップやシルバーの毛糸玉など様々な新作を売り出したが、それらの目的は売り上げではなく、SNSでの話題作りである。
若い世代向けの戦略が功を奏し、ティファニーはアジアや北米で業績が回復し始めた。近年業績が下降気味だったティファニーだが、過去5四半期は予測を超える成長を遂げていた。直近の2四半期では、全体で27%増収、実店舗も8%増収となった。
前述の米中貿易摩擦や代理購入制限等の懸念材料はあるが、Alessandro Bogliolo氏は「中国の顧客の全体的な需要は減少していない。中国大陸の増収率は二桁に達している。しかし、中国の消費者に変化が起きているということは確かだ」と述べた。
このような背景から、ザックス・インベストメントリサーチ社はティファニー株式に対して「買い」から「ホールド」へと評価を下げた。バンク・オブ・アメリカは「買い」から「ニュートラル」へと下げ、株価目標を140ドル(約1万5800円)とした。
(翻訳・雪希)
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