マセラティにもQQ音楽! テンセントがFCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)と戦略的提携

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中国企業と提携することに活路を見いだそうとする外資系自動車メーカーが増えている。120年の歴史を持つフィアット・クライスラー・オートモービルズ(以下、FCA)もそのひとつ。同社が取った選択は、テンセントという「巨船」に乗り込み、コネクテッドカー開発を加速させることだ。

FCAの中国市場戦略

激しい市場争いが繰り広げられる中、多くの外資系自動車メーカーは中国で散々な状況に陥っている。

長安汽車は今年9月、同社とスズキが合弁で設立した重慶長安鈴木汽車の株式のスズキ持ち分(50%)を1元(約16円)で買い取り、スズキは中国から完全撤退した。韓国の双竜(サンヨン)自動車は上海汽車集団に一度買収されたものの、その後上海汽車は経営から撤退。双竜は中国の龐大汽貿(パン・ダー・オートモービル)と提携したが、中国市場では依然として苦戦を強いられている。フォルクスワーゲン傘下のセアトは中国に2度進出して2度撤退という憂き目に遭っており、江淮汽車(JAC)の助けを借りて再び中国市場に進出しようとしている。

FCAを取り巻く状況も芳しくない。FCA傘下のブランドであるフィアットは、過去7カ月間、中国での販売台数はわずかで百数台で、撤退も噂されたほど。同社の第3四半期決算によれば、北米市場での利益(EBIT)は前年同期比51%増の1.9億元(約31億円)を記録したものの、欧州およびアジア太平洋市場では不調で、中でもアジア太平洋市場では9600万ドル(約109億円)の損失を計上している。

こうした状況の中、FCAは中国市場での生き残りをかけて、テンセントと提携した。

12月10日、テンセントはFCA中国との全面的戦略パートナーシップ協定を締結したと発表。同協定によれば、両社は共同で中国市場向け次世代スマートプラットフォームを構築するとともに、FCA傘下のジープ、マセラティ、アルファロメオなどにスマートモビリティサービスを提供。中国でのローカライズを推進するとしている。

スマートプラットフォームには、最初は遠隔制御、車両状態の遠隔診断、位置情報サービスなどの機能が搭載される予定だ。

同時に、テンセントはFCA中国向けに専用アカウントを設けて、FCA傘下の各ブランドが中国の消費者のニーズを全面的かつ多角的に理解できるようにサポートする。将来的には、R&D、生産、マーケティングなど全業務をカバーできるデジタルプラットフォームを構築する。

FCA中国の鄭傑COOは「デジタル化された現代では、あらゆる技術の究極的な意義は、より良い生活体験を創造し、本当の感動をもたらし、人々の距離を近づけることにある。FCA中国はテンセントと戦略的パートナーシップを締結することで、中国の消費者のニーズを満たしていく」と述べている。

テンセントの利点とは

「消費インターネットから産業インターネットへの移行」を推し進めるテンセントは、コネクテッドカーを重視している。同分野でBMW、ベンツ、アウディなど自動車メーカー15社と提携しており、すでに45車種が市場に投入されている。

テンセントのシニアエグゼクティブ・バイスプレジデントである湯道生氏は「自動車の運転は、我々が産業インターネット化を推し進める上で重要な分野だ。我々は自動車運転をアップグレードさせる『デジタルアシスタント』『コネクタ』としての役割を務め、パートナー企業に対して、より個性があり、システム化された、安全で信頼できるソリューションを提供する。そして、今回の提携では、世界的な自動車メーカーが中国のインターネット企業と提携することでどれほどの価値をもたらせるかを証明したい」と抱負を述べている。

調印式では、両社は、共同でスマートドライブ化を進め、FCA車のオーナー向けにインタラクティブなサービス(音声対話を通じた人、車、環境の相互接続)を提供すると発表した。テンセントが所持するクラウド技術、QQ音楽、地図サ-ビスなど、さまざまなリソースを活用することで、自動車運転のソーシャル化を実現させる計画だ。
(翻訳・飯塚竜二)

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