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半導体設計のユニコーン企業「瀚博半導体(Vastai Technologies)」がシリーズB1とB2合わせて16億元(約290億円)を調達したことがわかった。アリババグループ、「人保資本(PICC CAPITAL INSURANCE ASSET MANAGEMENT)」「経緯創投(Matrix Partners China)」「五源資本(5Y Capital)」がリード・インベスターを務め、「紅点中国(Redpoint China Ventures)」「耀途資本(Glory Ventures)」などの既存株主も出資した。
米調査会社「ガートナー(Gartner)」によると、世界のAIチップ市場規模は急成長する見込みで、2018年の42億7000万ドル(約4900億円)からの5年間で343億ドル(約4兆円)と8倍以上に拡大するという。
AIチップ業界では昨年、資金調達が盛んに行われた。世界には米「SambaNova Systems」「Groq」や英「グラフコア(Graphcore)」、イスラエル「Hailo Technologies」などのユニコーン企業があり、中国にも「寒武紀(Cambricon)」「地平線機器人(Horizon Robotics)」などがある。
五源資本のパートナーである劉凱氏は「AI技術を支えるAIチップ業界は世界的に見ても爆発的に成長している。米国では2016年頃にAIチップを手掛けるスタートアップ数十社が相次いで誕生しているが、現在そのうち多くがユニコーン企業となっている」と話す。AIチップ企業はDSA(ドメイン特化アーキテクチャ)を中心に、次々と製品のアップグレードや差異化を行っているうえ、すでに製品化の段階に入っている企業も多いため、今後数年で大規模な量産と出荷が行われる見通しだという。
瀚博半導体は2018年に上海市で設立。同社の製品ラインナップは3つに分かれている。1つ目はAI推論とアクセラレータカード関連製品だ。瀚博半導体は昨年7月の「世界人工知能大会(WAIC2021)」で同社初のサーバー用AI推論チップSV102と、汎用アクセラレータカードVA1を発表。SV102はすでに戦略的提携パートナーを見つけており、間もなく量産・販売される予定だ。2つ目はGPU(画像処理半導体)で主にクラウドゲーム、デスクトップクラウド、クラウドレンダリングに関係するグラフィック製品に用いられる。3つ目はその他のスマート製品だ。
瀚博半導体の強みは、まず半導体設計や量産化に豊富な経験を持つ点だ。同社の主要メンバーは米半導体大手「AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)」で世界初の7nmプロセス製造のGPUを開発したチームの出身者だという。
次に、同社がAI+動画という分野を選択している点だ。コンピュータービジョン(映像解析技術)はAI市場の大部分を占めており、ビデオストリーミングがデータストリームのうち70%を占めているという。その割合は上昇し続けており、実用化シーンもある。
銭CEOは「2021年、我々はAIチップが様々な新しい分野に応用されるのを見てきた。これは半導体に携わる人々にとって絶好のチャンスだ」と話す。インターネットの動画ライブ、ショート動画、コンピュータービジョン、自然言語処理、クラウドゲーム、デスクトップクラウド、クラウドレンダリング、メタバースなどの実用化が急速に進むにつれ、データセンターの処理能力に対するニーズも増加する。同社は各製品ラインを引き続き拡充し、業界での強みを確かなものにしていきたいとしている。
創業メンバーのうち、銭CEOは25年以上にわたるハイエンドチップの設計経験があり、AMDではGPUとAIサーバーチップの設計と生産を担当していた。現在市場に出回っているグラフィックスカード「AMD Radeon」やAIサーバー用チップは同氏が率いたチームが開発したものだ。張磊CTOはAMDでフェローを務め、23年以上にわたるチップやIPアーキテクチャの設計のほか、AIやディープラーニング、動画コーデックなどの分野で豊富な経験を持つ。
同社には300人以上の開発エンジニアがおり、上海、北京、深圳、西安、成都、カナダのトロントに拠点がある。
(翻訳・山口幸子)
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