GPU資源を有効活用、AI時代を支える「VirtAI Tech」が3年弱で6回の資金調達

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仮想化ソフトウエアを開発する「趨動科技(VirtAI Tech)」がこのほどシリーズB+で数億元(数十億円)を調達した。「国開装備基金(Guokai Equipment Fund)」が出資を主導し、既存株主の「Prosperity7 Ventures」「元禾重元(Oriza Prior)」「高瓴創投(GL Ventures)」が出資に加わった。同社は昨年2月にシリーズA+で、7月にもシリーズBで資金調達を実施しており、今回のシリーズB+は創業から3年の間に実施した6回目の資金調達となる。

趨動科技は2019年に北京市中関村サイエンスパークで設立され、企業向けにAI計算能力のリソースプール化やAI開発プラットフォームの構築を行っている。世界中でAI産業が急速に発展するのに伴い、AI計算能力に対するニーズも急増しており、今後さらなる成長が見込まれている。しかしAI計算用ハードウエアの利用率は低く、ハードウエアやそれに伴うメンテナンスに対する企業のニーズも拡大する一方だ。このためGPUをより効率的に活用することが急務となっている。

趨動科技はGPUのリソースプール化技術を通じて、AI計算の課題を解決しようとしている。GPUのリソースプール化とは、ソフトウエア定義によりGPUの計算能力を低コストかつ迅速にコントロール・管理することで効率化を図ることだ。GPU活用はこれまで仮想化、リモートプロシージャコール(RPC)、リソースプール化と段階的に発展を遂げてきた。

仮想化はGPUのリソースを分割使用することにより処理の高速化を実現する。RPCはこれをベースとして、ネットワーク上にある別の端末の処理能力を呼び出すもので、機敏かつ強力なネットワーク技術を必要とする。リソースプール化はRPCよりもさらに大規模なリソース活用が可能になる。

同社はリソースプール化ソフトウエア「OrionX」とAIトレーニングプラットフォーム「GEMINI」の2プロダクトを展開している。OrionXはリソースの利用効率向上と保有コスト削減をサポートするとともに、アルゴリズムエンジニアの作業効率化も実現する。GEMINIはAI計算能力の管理サービスを提供するほか、アルゴリズムの開発やトレーニングの支援も行う。いずれもAIを活用するシナリオを想定し、それぞれに異なる機能を提供する。

同様の事業を手がける企業は国内外ともに少数だという。顧客側の試算によると、OrionXを使用することでアルゴリズムエンジニアの作業効率は50%向上、AIリソース活用率は3~8倍になり、平均80%のコスト削減を達成できるとのこと。同社幹部の話によると、リソースプール化ソフトウエアは基盤技術であり、この基盤技術の確立に加えて、さまざまな活用シナリオ向けに具体的な最適化を行っていくとしている。

設立以来、同社はDell EMC、アマゾンウェブサービス(AWS)、Rancher、「浪潮信息(Inspur Electronic Information)」など業界トップクラスのIT企業と緊密な提携関係を築いてきた。現在は、交叉信息革新技術研究院やOTA大手の携程(Trip.com)など多数の企業と提携関係を結んでおり、大口顧客から複数回にわたる追加購入を獲得している。2021年には浪潮、「栄聯科技(Ronglian)」と共に西湖大学のインテリジェントコンピューティング・センターを構築し、西湖大学のGPUサーバーにOrionXを用いたプール化ソリューションを提供した。また「中信建投証券(China Securities)」と北京理工大学にも間もなくOrionXの導入が完了するという。
(翻訳・畠中裕子)

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