中国越境ECの元祖「敦煌網」、物流や決済代行サービスで海外顧客2100万社

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中国の電子商務研究センター(ECRC)によると、中国企業が海外で展開するEコマースの取引高は2018年前半だけで3兆4700億元(約56兆3000億円)規模に達した。世界200の国と地域、70億人の消費者を対象に、米国や英国などの先進国からブラジルやインドなどの新興国まで幅広い市場を相手にするため、チャンスは国内市場の比ではない。巨大なサプライチェーンと先進的なEコマース環境を強みとする、中国企業の越境ECは大きな注目を浴びつつある。

2017年のデータによると、こうしたEC業者の80.9%がB2Bサービスを展開している。中でもEC黎明期の2004年に設立された老舗「敦煌網(DHgate.com)」は注目に値する。

通常、国をまたいだ商取引には貿易業者や通関業者、卸業者などが間に入り、業者が1社入るごとに商品価格に2~3割が上乗せされる仕組みだが、敦煌網のような越境ECは、中国のメーカーと海外の小売業者を直接結びつける。そのため、比較的少額の取引も可能になるのだ。敦煌網は現在、2100万品目以上を取扱い、197万社の国内業者が出店している。海外の仕入れ業者は2100万社に上り、その7割が北米に集中している。仕入れ業者は中小規模の小売業者から個人商店までさまざまだ。主な顧客獲得源は、オフラインがBD(ビジネスデベロップメント)、オンラインがSEOとなっている。

敦煌網は海外業者へのアフターサービス拠点として、8カ国にデジタル貿易センターを設けている。また、通関、物流、決済、金融などのサービスを代行しており、取引効率の向上や取引コストの削減に貢献している。現在、50カ国で通関手続きを行い、200の物流ラインと17の倉庫を確保している。

物流に関しては、これまでの国際取引のビッグデータを蓄積してスマート物流システムを確立している。発送業者は発送元や希望納期などを入力するだけで最適な物流ルートを手配することができる。従来の国際物流体制と比較して、コストは62%削減され、配送所要時間もおよそ半分となった。

同社の収益源は5~7%に設定された取引手数料と、ビッグデータを活用したマーケティングなどの付加サービス利用料。2018年の流通総額は前年比110%の成長を見せ、売上高成長率は同52%増、粗利成長率は同34.5%増、純利益成長率は同84.2%増となっている。

敦煌網創業者兼CEOの王樹彤氏は、マイクロソフト中国やシスコシステムズで要職を務めた人物。1999年に中国初のB2C取引プラットフォーム「卓越網(joyo.com、現在のアマゾン中国)」を起業している。

当初、B2Cで起業した王CEOは、B2Bへ転向した理由について「B2Cモデルは相手国の中小企業に打撃を与えてしまうため、彼らの抵抗は避けられない」と語った。B2Bにしても、大手をターゲットとせず、世界各国の中小業者をつなげることで、サービスの内容も深さも充実させている。また、法人顧客は個人顧客より定着率やリピート率が高く、1回あたりの取引規模も大きい。軌道に乗せるまでは時間がかかるが、基礎が固まれば一気に拡大できるのだ。

王CEOによると、越境ECの発展段階は「貿易情報のイエローページ」から「取引プラットフォーム」を経て「サービス提供プラットフォーム」へと向かっているとのこと。取引の過程で必要となるマーケティング、物流、金融などの全サービスを第三者が提供する体制を築くのが、敦煌網の今年の目標だ。今後は海外からも出店者を募る計画。すでにトルコや東南アジアで市場開拓が進んでいるという。
(翻訳・愛玉)

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