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スマートセンシングやコンピューター制御向けのチップを開発する「深圳曦華科技(CVA Chip)」がこのほど、シリーズAで1億元(約20億円)以上を調達した。出資者は新エネルギー車メーカーを背景に持つベンチャーキャピタルで、既存株主も軒並み追加出資を行った。
曦華科技は2018年に設立され、自動車やIoT、スマート端末市場向けのチップ設計を手がけている。32ビット車載マイコン(MCU)やスマートスケーラーチップ、5G通信SARチップ、TWS(完全ワイヤレスステレオ)センサーチップなどを展開しており、すでに5製品が量産を開始している。
中国汽車工業協会および市場調査会社ストラテジー・アナリティクスの最新データによると、2021年の中国の新エネルギー車販売台数は前年比150%増の350万台以上となり、新エネルギー車市場が急成長期を迎えていることが示された。EV化やスマート化の流れに伴い車載MCUの需要が増加し、ハイエンド化や高集積化も進んでいる。一般的に、自動車1台に使用されるマイコンは数十から100個と言われており、自動車における半導体の価値は上昇するばかりだ。
現在、マイコン市場は主にインフィニオン・テクノロジーズ、NXP、ルネサス、テキサス・インスツルメンツなどの海外チップ大手の寡占状態で、国産率は低い。しかし新型コロナウイルス感染症の流行で自動車用チップが供給不足に陥り、生産能力がひっ迫して価格が高騰するなか、中国のチップメーカーにチャンスが訪れた。
曦華科技は設立当初から自動車分野への進出を計画しており、2021年に自動車用チップ市場への参入を果たした。同社は国産の高性能車載マイコンに照準を合わせ、ボディーや車内空間、シャシー、スマート運転支援などに対応したハイエンドの車載マイコンおよび関連ソリューションを提供する。
マイコンは、スマート制御の新エネルギー車で「頭脳」の役割を果たす自動車制御の中核部品だ。車載マイコンはボディー、パワートレイン・シャシー、インフォテインメント、自動運転の4分野に大別できるが、同社はまずボディーの分野にアプローチすることに決めた。
曦華科技が独自開発したM4Fコア32ビット車載マイコンはすでにテープアウト(設計が完了)しており、近くサンプルを発送できるという。自動車事業責任者の楊斌氏は、同社のマイコンは機能安全規格ISO 26262に適合しているほか、自動車サイバーセキュリティー規格ISO 21434や自動車安全水準ASIL-Bを満たす高性能マイコンだと説明する。
自動車用チップには高い信頼性と安定性が求められ、信頼性を評価するAEC-Q100規格のほかISO 26262に適合しなければならない。現在、中国で車載マイコンを生産できるメーカーはわずか数社にとどまる。曦華科技は当初から安全性を第一に掲げて開発を進めてきた。すでに機能の安全性に関する段階的な評価を終え、製品の機能認証が進行中だ。
顧客向けにはチップ、アルゴリズム・ソフトウエアおよびハードウエアを組み合わせたトータルソリューションを提供し、それぞれのニーズに応えられるようにしている。例えば自動車メーカーに対しては、パワーシートの制御モジュールを提供するだけでなく、その基盤となるドライバや制御基板の関連設計も提供する。
今年はさらにスマートコクピットやシャシーなどに向けた高性能車載マイコンを発表するという。現在、数十社の中国OEM工場や一次サプライヤーと幅広い提携を展開しているほか、大手企業や提携パートナーとの戦略協議も締結している。
(翻訳・畠中裕子)
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