ソーシャルEC「小紅書」が組織再編、収益源を広告へも拡大

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商品レビューコミュニティとEコマースを融合させたスタイルで躍進してきたソーシャルEC「小紅書(RED)」がこのほど組織再編を行い、EC事業を二分割した。社内文書によると、外部出店企業をレビューコミュニティ内にとりまとめ、自社運営のECは独立して運営していくという。

小紅書は従来、商品レビューコミュニティがユーザー獲得の役割を、ECプラットフォームが収益獲得の役割を果たしてきた。今後、レビューコミュニティに組み込まれた出店企業に対してはマーケティングや取引を支援し、自社EC「福利社」では買付け、販売、在庫管理、物流、カスタマーサービスなど一連のサプライチェーンを維持する。

今回の組織再編から読み取れることは2点。

1点目は、小紅書が設立以来6年間目指してきたEC事業単独での収益化を断念したということだ。

2点目は、出店企業の販売プラットフォームをレビューコミュニティに移すことによって、コミュニティ訪問者のコンバージョンレートを向上させ、広告獲得につなげる意図だ。つまり、迅速にデイリーアクティブユーザー(DAU)を増やすとともに、ユーザーと広告主の双方にとって役に立つコミュニティを構築するということだ。これが小紅書の「収益化元年」を左右するといってもいい。

ソーシャルECとして行き詰まり、広告収益に着手した経緯はどこにあるのか。小紅書のこれまでの変遷をたどってみる。

2014年に越境ECとしてスタートした小紅書だが、アリババ系の「天猫国際(Tmall Global)」や網易(ネットイース)系の「ネットイースコアラ(網易考拉)」など、強固なバックグラウンドを持つ競合との勝負は、はじめから負けが決まっていたと言ってもよいだろう。抱えるユーザー数や資金力、どれをとってもスタート地点における規模が異なるからだ。

また、小紅書がアプリ内で運営する自社EC「福利社」がこうした競合の恰好のターゲットになってしまったことも大きい。福利社は取扱商品を絞り込んだ中からヒット商品を生み出し、それらの仕入れを拡大することでコストダウンを図っていた。ところが、同社が取り上げた商品はことごとく競合に追随された。価格戦に持ち込まれた場合、小紅書が大手に勝つ術はない。さらに、保税倉庫の建設やカスタマーサービスの構築に割く資金も大きな負担になった。

最終的には、小紅書で見つけた商品を競合ECで買うというユーザーの流れも見られるようになった。そこで、小紅書は外部から出店企業を募り、取扱商品拡充に踏み切ることになった。

あるデータによると、2018年第3四半期の越境EC市場でシェア1位となったのは天猫国際(30.2%)、2位はネットイースコアラ(23.2%)で、小紅書は6位(3.9%)と大きく引き離されている。

データ:中国産業研究院(The Chinese Academy of Industry Economy Research)

2017年、小紅書は事業戦略を見直し、レビューコミュニティの活性化を最優先した。これは戦略として成功だったようだ。さらに、芸能人をインフルエンサーとして招き入れ、ネットバラエティ番組のスポンサーになるなどの施策で新規ユーザーを多数獲得し、DAUも飛躍的に伸ばした。しかし、人気芸能人の起用については社内でも賛否が分かれたという。これまでは、利害と無関係の一般ユーザーによる口コミがコンテンツの信用度を担保してきたわけだが、そこへ芸能人が介入して来ればその信頼性が揺らぐからだ。

コミュニティ活性化は、広告収益モデルへ転換する布石だったようだ。小紅書は同時期からニュースフィード広告の導入へ舵を切りはじめる。

ニュースフィード広告におけるコンテンツデリバリーの主体はプラットフォームにあり、ユーザーにはない。そのため、極力ネイティブ広告の形式をとることでユーザーの反感を買わないようにしなければならない。特に「一般ユーザーによる情報の共有」を謳ってきたレビューコミュニティにおいて、広告の掲載は、可能な限りユーザー体験を損なわないよう留意する必要がある。

2018年5月、小紅書はシリーズDでアリババグループなどから30億ドル(約3400億ドル)を調達した。獲得した資金の多くは技術力向上に投入している。レコメンドアルゴリズムを武器としてまたたく間に台頭したショート動画アプリ「TikTok(抖音)」に倣った形だ。

今回の組織再編では、小紅書の3つの目標が明確になった。

一つ目は、引き続きDAUを伸ばすこと。2019年旧正月シーズン、小紅書のアクティブユーザーは前年同期比3倍超となった。某地方局の年越し特番で単独スポンサーになったのを始めとして、複数の局で積極的に露出したことが功を奏したとみられる。

二つ目は、さらに多くの出店企業を誘致するために、取引手数料を改定したり、起動時広告やニュースフィード広告枠を設けたりすること。昨年末には公式認定を受けた出店業者に対し、一般ユーザーと提携して広告を出稿できるシステムを開始した。つまり、インフルエンサーにコンテンツ投稿を介した宣伝活動を依頼できるようになる(ただし、投稿記事には広告であることを明示する義務がある)ということだ。

三つ目は、自社ECを維持することにより、潜在力のあるニッチ商品を発掘することだ。競合プラットフォームでは扱っていない商品を見つけ出し、利益の最大化を図る。

これらの施策が成功すれば、一部でささやかれているアリババグループによる買収も回避することができるだろう。
(翻訳・愛玉)

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