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今月5日に開幕した「両会」(全国人民代表大会、中国人民政治協商会議)では、例年通りインターネット業界のリーダーが集結し提案を行った。キーワードは3つ――IoT、AI、5Gだ。
李彦宏氏:3つの「AI」
百度(バイドゥ)CEOの李彦宏(ロビン・リー)氏の提案は全てAIに関するものだった。AI倫理の強化、スマート交通ソリューションの構築、電子カルテ管理制度の整備の3件だ。
李氏がAIに関する提案を行うのは5年連続であり、背後にはバイドゥの一貫した野心が見える。自動運転向けソフトウェアのオープンソース型プラットフォーム「Apollo」からAIスピーカーの「小度(Xiaodu)スマートスピーカー」まで、同社は一貫してAI分野を開拓してきた。中国で最も早くからAI分野に投資した同社は、今年長沙市で自動運転小型バス「阿波龍(apollo)」の試運転を行う予定も明らかにした。
馬化騰氏:5Gの商用化を推進し、IoTをサポート
テンセント(騰訊)CEOの馬化騰(ポニー・マー)氏はインダストリアル・インターネットの基盤整備に向け、5GとIPv6(インターネットプロトコルの次世代規格)の商用化を推進し、工業クラウド、金融クラウド、教育クラウドなど各クラウドのプラットフォーム――「クラウドクラスター」を構築することを提案した。
馬氏はIoT、AIなど新興産業で雇用を増やすよう呼びかけたほか、宅配便や飲食物の配達員などの権益に特に関心を寄せた。
このほか、テンセントが13歳以下の子どもを保護する目的で先日打ち出した「チャイルドロック」モデルを踏まえ、未成年者のインターネット上の行動を管理、指導するワンストップ型プラットフォームを構築するよう提言した。
丁磊氏:AIで教育とECをサポート
網易(ネットイース)CEOの丁磊氏は、AI導入やライブ配信などのインターネット技術によって山間部の貧困地域にも十分な教育を提供できるようになり、都市部と農村部の教育格差を縮小し、貧困の連鎖を解消するのに役立つと提言した。また、2019年も引き続きオンライン教育を重点項目のひとつにするとした。
EC(電子商取引)で的確な貧困支援を行うことについては、▽ロゴマークを統一し、独自ブランドを創設▽専門家やビッグデータを取り入れた介入指導▽インターネットに精通する「新農民」の育成▽優先的な金融政策――など4つの措置を提言し、実現にはAI技術の力が不可欠との認識を示した。
このほか、丁氏もゲーム業界大手として、ビジネスモデルやコンテンツを青少年向けに調整するよう提案した。
王小川氏:デジタルホームドクターと公共データのオープン化
「捜狗(Sogou)」CEOの王小川氏は、引き続きAIを活用したデジタル化医療に関心を寄せている。
医療のデジタル化改革に関し、国が業界標準を定め、多方面からの参加を促し、健康的な国づくりにおいて「デジタルホームドクター」の潜在能力を発揮するよう提言した。王氏は昨年も「デジタルホームドクター」に言及しており、それによって医療の「ラストワンマイル」を解消できるとしていた。なお、捜狗は長年にわたって医療分野に取り組んでおり、2016年にサービスを開始した医療分野に特化した検索エンジン「捜狗明医(mingyi.sogou.com)」はAI技術と医療分野の検索を組み合わせたものだ。
捜狗がAI分野で研究を強化していることを踏まえ、公共データのオープン化を進めることも提言した。
雷軍氏:5G時代のIoT、4つの方向性
シャオミ(小米)CEOの雷軍氏は、5G時代におけるIoTのイノベーションに関する提案を行った。
シャオミは同社初の5G対応スマホ「Mi MIX3」を先日発表しており、雷氏はデマンドサイドのひとりとして5G時代のIoTに関し、▽工業分野でのIoT活用を加速し、工場のスマート化を促進▽5GとIoTを活用したスマート農業の発展▽自動運転とIoV(車のインターネット)の発展▽医療分野でのIoT活用――など具体的に4つの方向性を示した。
周鴻禕氏:「サイバーセキュリティーのブレーン」必要
中国のセキュリティー大手「奇虎360(Qihoo 360)」CEOの周鴻禕氏は5G時代のサイバーセキュリティーに関心を寄せ、多方面が共同で「サイバーセキュリティーのブレーン」を構築することを提言した。
5G時代はオンラインとオフラインの境界が消えつつあり、サイバー空間での攻撃が仮想空間を突き抜け、物理的世界の安全に直接影響を及ぼすとの見方を示した。中国が現在直面するサイバー攻撃の脅威は、ビッグデータを統合して未知の攻撃を感知することでしか解消できない。
国が運営会社、研究機関、国有企業、民間企業のサイバーセキュリティー研究部門をとりまとめ、「サイバーセキュリティーのブレーン」が連携して防御、行動できるようにすることを提言した。
(翻訳・池田晃子)
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