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大手会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が発表した「マネーツリー・リポート(2018年後半)」によると、中国のTMT(テクノロジー・メディア・通信)業界への投資額は2018年第2四半期(4~6月)に史上2番目の高水準を記録したが、年後半の2四半期は減少が続いた。
特に第4四半期(10~12月)は全ての業界で投資額が大幅に減少した影響を受け、投資額の縮小が目立った。18年後半、1億ドル(約111億円)を超える投資案件の数は合計54件、総額は213億1100万ドル(約2兆3800億円)で、投資額全体の76%を占めた。
同リポートのハイライトは、テクノロジー業界の初回資金調達額が初めてインターネットおよびモバイルインターネット業界を上回り、TMT業界全体の47%を占めたことだろう。18年後半、TMT業界に含まれる4大業界のうち、テクノロジー業界への投資案件数は合計905件で最多となった。1億ドル以上の投資案件数は18件で、半導体集積回路業界に大きな関心が寄せられた。
テクノロジー業界躍進の理由には政策面の変化が挙げられる。具体的には18年下半期に国務院が「双創」(大衆創業・万衆創新の略称。国民全体で起業・イノベーションに取り組むことを指す)のアップグレードに関する意見に加え、イノベーション企業や小規模・零細企業の発展を支援する減税や福利厚生に関する複数の政策を打ち出したことなどだ。
ハイテクベンチャー専用ボード「科創板」が創設されることも、昨年末からハイテク分野への投資が増えている原因のひとつだろう。
中国証券監督管理委員会(証監会)は科創板について、次世代情報技術、ハイエンド機器、新材料、新エネルギー、省エネ・エコロジー、バイオ医薬品など先進技術産業と戦略的新興産業を重点的に支援するとしている。
マネーツリー・リポートは、科創板創設により投資家には新たな資金調達とエグジットの場がもたらされるとみている。PwCチャイナTMT業界リーダーの倪靖安(Charline Ni)氏は「プライベート・エクイティ(PE)の立場からすると、科創板は新たな選択肢をもたらすもので、好材料になる」と語る。
PwCチャイナTMT業界リーダーの高建斌氏は、18年下半期と第4四半期にPEファンドとベンチャーキャピタル(VC)によるテクノロジー分野への投資が増加の一途をたどったことに触れ、「本格的な増加ではないが、件数は伸びている」との見方を示した。こうした状況には投資家の間に広がる一定の様子見ムードが表れているのかもしれない。
(翻訳・池田晃子)
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