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世界保健機関(WHO)の予想によると、今世紀は不妊症がさらに深刻な問題になるとという。中国でも自然環境の悪化や職場でのストレス増加、晩婚化などにより、不妊症に悩む人は年々増加の傾向にある。さらに、中国では長年続いた一人っ子政策が終わり、第二子の出産が可能になったため、高齢出産に挑む女性が近年顕著に増加している。
中国には現在、21~49歳の女性が3億800万人いる。そのうち、35歳以上が50.6%に上る。一般的に、女性は35歳を過ぎると生殖器官の老化がはじまり、妊娠の可能性も年齢を追って下降していくという。当然、不妊治療を選択するケースも増えていく。
ただし、中国では体外受精の成功率が30%と言われており、決して確率が高いとは言えない。そこで、不妊治療のために海外渡航を選択することが一種のトレンドとなりつつある。
「格莱宝美孕(Global Fertility and Genetics/GFG・USA)」は、2015年にニューヨークで創業し、全世界から患者を受け入れる生殖補助医療機関だ。不妊症とひと言で言ってもその背景は千差万別であるため、一人ひとりの状況に寄り添った支援を提案する。
CEOの劉安妮氏によると、中国在住の顧客を欧米の医療機関に紹介するだけの組織が多い中、格莱宝美孕は単なる仲介業務だけではなく、不妊治療実現までの全プロセスを包括的に支援する。不妊症の検査から医師の診察、治療方針の確定、渡航準備、滞在先の手配、治療後のフォローまでを行い、着床前診断(PGD)、卵子・精子凍結保存、第三者を介する生殖補助(卵子提供など)にも対応する。
同社は自前でラボラトリーを所有している。米国臨床病理医協会(CAP)認定、米食品医薬品局(FDA)登録の施設であり、米国生殖補助技術協会(SART)のKevin Doody博士や、子宮内膜症手術の専門家Andrea Vidali医師などの専門家らと提携している。
2年間にわたるラボの建設と登録審査を経て、格莱宝美孕は2017年に正式に中国市場での運営をスタートした。北京、上海、広州、鄭州、青島など7カ所に関連施設を置き、顧客に対して渡米前の準備や手続きを支援している。一連の検査やスクリーニングを経て、渡米治療の条件に適合すれば、米国側の医師の診察を受け、適切な治療方針が立てられる。
その後、渡米して実際の治療を受けるが、渡航後も一貫して中国語によるサポートがつく。情報の透明化を徹底し、海外で医療を受けるリスクを低減するために、同社は自社開発した電子カルテを用いて、米中双方でリアルタイムに情報共有を行う。費用に関して、劉CEOは「生殖補助医療業界の『シャネル』と位置付けたい」と語り、中~高価格帯を想定していることをうかがわせた。
具体的な価格として、1クールの体外受精で2万8000ドル(約300万円)と設定されている。昨年は400人の患者にサービスを提供した。患者の年齢は30~45歳、国籍はさまざまで、高学歴の患者が多かったという。
昨年は全面的に中国市場の開拓に注力した。営業チームを徐々に拡大しながら、中国医院協会(CHA)、中国医師協会(CMDA)、上海中医薬大学などと提携関係を築いている。今後は、より体系的な不妊検査体制を国内の医療機関に導入することや、米国の最新鋭の生殖補助医療技術と中医学の治療法や生薬を融合して、さらに質の高い医療の提供を目指す。将来的には各国に医療機関を開設し、グローバルなブランドの形成も視野に入れている。
同社はニューヨークでは初、なおかつ唯一の中国系アメリカ人によるグローバル展開の生殖補助医療機関だ。創業者兼CEOの劉安妮氏は、1990年代からニューヨークに在住し、医療・教育・不動産投資・資産管理など各方面で富裕層向けの事業を展開してきた。パートナーの胡波氏は健診を主とした医療サービス機関「滋銘健康体検管理集団(CIMING HEALTH CHECKUP GROUP)」の創業者兼董事長だ。創業資金はすべて創業メンバー個人によるもので、これまでずっと外部からの出資を受けていないという。
(翻訳・愛玉)
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