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オンライン消費が盛んになるにつれ決済方法の多様化が進んでいる。中でも「BNPL(Buy Now Pay Later、後払い決済)」は、まさに雨後の筍の如く世界各地に広がり、メジャーな決済サービス企業も本腰を入れるようになっている。
米オンライン決済サービス「PayPal」は2020年に分割払いサービスを導入、続いて22年6月にBNPLサービス「Pay Monthly」を開始した。アップル(Apple)も今年6月に開催した世界開発者会議「Apple WWDC22」において「Apple Pay Later」を発表した。
このほかにもBNPLに目をつける企業は増えている。スウェーデンのフィンテック企業「Klarna(クラーナ)」は設立後これまでに、セコイア・キャピタル、アリババ傘下のフィンテック企業アント・フィナンシャル(現社名:アント・グループ)、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2などから投資を集めており、今年7月にも8億ドル(約1000億円)を調達した。米モバイル決済企業「Square(スクエア、現社名:Block)」は21年8月、豪決済サービス企業「Afterpay」を290億ドル(約4兆円)で買収した。中国IT大手のテンセント(騰訊控股)も20年にAfterpayの株式5%を取得している。
大手企業や資本の相次ぐ流入で、BNPLはますます注目を集めている。
その中で、Eコマース業界では独立系サイトの間でもBNPLが広まっており、多くのサイトが次々にサービス提供を開始した。BNPLは次のホットな投資先になるのだろうか。
大手独立系ECサイトも導入
BNPLサービスでは、消費者は短期間の立て替え払いが利用できることになる。先に商品を購入し、一定の期間内に支払いをするが、クレジットカードは利用者が利子を負担しなくてはならないところを、BNPLでは手数料を取られないという違いがあり、こうした点でユーザーから支持されている。
米金融サービス大手FIS傘下のWorldpayが公表した「グローバル決済レポート」によると、この数年に世界中でBNPLサービスが激増し、21年にはEコマースの全取引額の2.9%を占め、25年には5.3%にまでに拡大すると予測されている。中でも北米地域では21年、Eコマースの取引額に占めるBNPL利用の割合が3.8%になっており、25年には8.5%になると予測されている。
現在、決済方法にBNPLを加えているオンライン通販ブランドは、レディースファッッション「SHEIN」「ZAFUL」「STYLEWE」、ベビーウェア「PatPat」、ガジェット・電子機器「Banggood」「Anker」、家具・雑貨「Aosom」などだ。
アジアのBNPLサービス大手「Atome」の中国地区責任者である樊繁氏によると、SHEINの東南アジア向けサイトはAtomeを導入後、客単価が少なくとも32%増え、リピート率は2.34倍増加した。利用者のほとんどは30歳以下のユーザーだったという。またKlarnaの公式サイトによると、同社のBNPLを導入した業者は平均購入単価が41%、コンバージョンレート(サイト訪問者に占める購入者の割合)が30%増加し、新規顧客も増えた。
BNPLは独立系ECサイトに決済方法の選択肢を増やしただけでなく、客単価やリピート率も明らかに高めた。これはまさに独立系ECサイトの運営事業者が求めているものだ。取引成立後、BNPLサービスの提供企業が販売額全額をすぐに立て替え払いしてくれるため、商品購入者の分割払いを待つ必要がなく、スムーズな資金繰りが可能になるのだ。
消費者にとっては、コロナ禍と世界経済混乱のなか、BNPLなら分割払いのような利息はなく、厳しい懐具合の助けになる。高額な商品を求める消費者の要望も満たし、消費を刺激するものとなっている。
利点多い一方、リスクも
BNPLにはこのように多くの利点があるが、隠れた問題もある。
独立系ECの売り手の一部はBNPLを導入していても、大いに期待するわけでもないようだ。あるサイト運営者は「BNPLのプラットフォームは売り手に対し、販売額の7〜12%にもなる高額な手数料を請求する。かと言って消費者から利息を取ることはなく、俗な言い方をすれば、BNPLプラットフォームは売り手の金を使って消費者の機嫌を取っているということで、これが続けば売り手の利益は大幅に削られてしまう」と語った。
このほか、BNPLを利用する消費者は衝動的に商品を購入する可能性もあり、返品となるとそのコストが売り手の利益を圧迫することになる。独立系ECの売り手はBNPLの導入に当たり、こうした返品の問題も考慮しなくてはならない。
原文:WeChat公式アカウント「雨果網(ID:cifnews)」
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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