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2022年には日本市場でも多くの電気自動車(EV)が登場し、「EV元年」と呼ばれた。すでにショッピングモールやコンビニなどの公共施設でもEVの充電設備が設置されている中、今後EVの普及とともに充電設備のインフラ整備はさらに加速することが予想される。
中国の新エネルギー車(NEV)業界はここ数年で急成長し、EVの販売台数と保有台数は右肩上がりに増加している。その電気を供給する充電設備のインフラ整備は必要不可欠で、中国政府がそれを推し進める政策を次々と打ち出すほど急務となっている。
建設の規模で見ると、15年以降にNEV用充電設備の数が急増していて、22年6月末時点で中国のNEV保有台数は1044万台、充電設備は前年同期比102%増の392万台で、充電設備1カ所に対し車2.66台の比率になっている。
また、送電網や敷地の制約から公共充電設備の台数は依然として不足しており、地域差も大きい。ピーク時に行列ができたり、辺ぴな場所では充電設備が見つからなかったりすることも多い。これらの問題を解決すると期待されているのが移動式充電設備だ。市場ではすでに移動式エネルギー補給車や移動式充電ロボットなどのソリューションが登場している。
「電力が車のもとへ出向く」充電のデリバリーサービス
「藍鯉能源(Lanli Energy)」は新エネルギー車向けに移動式のエネルギー補給サービスを提供する。駆動用バッテリーと充電設備を統合して、「電力が車のもとへ出向く」ようにした。航続距離に対する不安や充電の不確実性を解決することが目的で、タクシーを呼んだりフードデリバリーを頼んだりする感覚で、出張充電サービスを利用してもらう。
同社は固定設備の蓄電池や充電スタンドを移動可能な車両に集約した。充電が必要な時にアプリやミニプログラムでサービスを申し込むと、藍鯉能源が車両と作業スタッフを派遣して充電サービスを24時間体制で提供する。充電のプロセスはリアルタイムでモニタリングされており、充電完了後にはバッテリー診断レポートが利用者に送られるほか、安全性の評価やリスク予測などのサービスも提供する。
このように将来的に充電設備のインフラ問題が解決されると、充電の利便性が給油を上回る状況も遠い未来の話ではなくなる。新エネルギー車は予想以上のスピードでガソリン車に取って代わり、中国が掲げている脱炭素政策「ダブルカーボン目標」の達成に向けて大きく前進することだろう。
今回の記事内容は、有料情報プラットフォームCONNECTOで掲載している「中国EV充電設備業界レポート:政策から産業チェーン、課題まで解読」から抜粋したものです。全編レポートでは、中国充電設備業界の概況、政策、産業チェーンの構造分析、課題と突破の足がかり(画期的なサービス)などを詳しくまとめています。ご興味のある方はぜひご利用ください。
(36Kr Japan 編集部)
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