鉱山用ダンプトラック、大型化と電動化加速。中国企業、ハイエンド路線で海外大手と競う

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電気などの新エネルギーで走る大型ダンプトラックを開発する中国スタートアップ企業「銥鉬科技(EasyMoveme)、以下EM」が、シリーズAで1億元(約19億円)以上を調達した。既存株主の祥峰投資(Vertex Ventures)が主導し、東方嘉富(Orient Jiafu)も出資に参加した。

EMは2021年8月に設立され、世界の顧客に新エネルギーのスマート重機とその運用サービスを提供している。主力製品のダンプトラックは鉱山、港湾、大規模工事などのオフロード輸送に使われる。創業者の3人はいずれも清華大学自動車工学部の出身だ。

同社は2022年上半期にエンジェルラウンドで数千万元(数億~十数億円)を調達したと発表。中国初の純国産200トン級スマートダンプトラック「EM200」の開発に成功し、ハイエンド分野における海外大手の技術的独占を打ち破った。中国の同業他社は105トン以下のワイドボディ(寛体)ダンプカーをメインにしている。

創業者の張華坤CEOによると、中国では2021年にワイドボディダンプトラックの販売台数が2万台を超え、うち3000台ほどが輸出された。22年の販売台数は3万台前後、輸出は約8000台に急増している。

ダンプトラックは大型化、電動化、無人化が進んでおり、メーカー各社もこれらの分野に力を入れている。EMは特に大型化と電動化に重点を置いて、新エネルギーとスマート化によって改良を進めており、最大積載量が165トンおよびそれ以上のオフロード用ワイドボディダンプトラックを複数展開している。

同社のワイドボディダンプトラック

一般的に100万トンクラスの露天炭鉱の採掘と土石の剥ぎ取り作業には、数十カ所の作業地点が必要で、それぞれ1台の掘削機と4~6台のワイドボディダンプトラックが使われる。車両の積載量が多いほど1回の輸送量が多くなり、生産量が増える。同じ生産量でも車両の台数を減らせるので、ドライバーの節約と作業の効率化につながる。鉱山区で使われる中国製ワイドボディダンプトラックは総重量105トン以下、標準積載量では70トン以下が主流となっている。一部の大規模国有鉱山では積載量が100トンを超える輸入リジッドダンプトラックが使われているが、非常に高価なうえメンテナンス費用もかさむ。中国大手の三一重工や北方重型汽車も積載量100トンを超えるダンプトラックを展開しているが、基幹部品は主に輸入品に頼り、価格も輸入製品と同水準になっている。また、シャーシや駆動システムなどのコア技術も海外サプライヤーに握られている。

EMは中国のサプライチェーンを使って、トラックのシャーシを自社で設計することにした。さらにさまざまな動力システムで製品を提供しており、同じ型番でも、軽油と電気のハイブリッド、水素と軽油のハイブリッド、純電動、水素燃料電池といったエネルギー供給方式を選べる。張華坤CEOによると、現段階ではハイブリッドが最も現実的な選択肢になるという。 鉱山区の電気インフラは整備にばらつきがあり、ほとんどの露天鉱山には電気自動車の大規模な運用を支えられる充電設備がないためだ。

自社工場の生産・組立現場

EM200のプロトタイプはすでに内モンゴル自治区の鉱山区でテストを完了。「EM165」と「EM185」は設計を終え、湖北省随州市にある自社工場で生産と組立が進められている。

(翻訳・大谷晶洋)

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