デジタル物流を推進、貨物輸送プロセス最適化の「Ritase」が9億円を調達

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インドネシアのエンドツーエンド貨物輸送プラットフォーム「Ritase」は、シリーズAで850万ドル(約9億3500万円)の資金調達を終えた。リードインベスターはシンガポールの「Golden Gate Ventures」で、コ・インベスターは「集富亜洲(JAFCO Asia)」や「衆為資本(ZWC Ventures)」など。

Ritaseは、荷送人とトラックとのマッチングサービスを提供する2017年創業のBtoB貨物輸送プラットフォームだ。インドネシアは無数の島々からなり、道路状況も複雑なことから、荷送人の日々の輸送ニーズが十分に満たされていないうえ、運送業者の輸送キャパシティーもまちまちで、トラックの利用率は低い。

創業者兼CEOのイマン・クスナディ氏によると、RitaseはSaaSを利用し業界の需給不均衡を解決している。データ一覧ボードにより、荷送人、ドライバー、運送業者をリアルタイムで結び、輸送管理システムを構築している。APIポートを利用して複数の中小企業のERPシステムに接続し、適切な運送業者を自動で割り当てる。アプリとウェブサイト上でオーダー情報をトラッキングし、配送が終わればドキュメント類を電子発行する。輸送管理システムは約500社の中小運送業者が所有する約7500台のトラックと繋がっており、今年5月の時点で4万件以上の配送オーダーを取り次いでいる。

Ritase創業者のイマン・クスナディ氏

このほかRitaseはeコマース業務も手掛けている。トラックや販売店に部品、ガソリン、タイヤなどの運搬関連部品を供給するほか、短期・長期の倉庫リースおよびトラックリース、さらにはドライバーやトラックの保険といったファイナンスサービスも提供している。イマン氏は、貨物輸送サプライチェーンの整理統合により、今後Ritaseを業界のスーパーアプリケーションにしたい考えだ。

Ritaseは現時点で、ネスレ、ユニリーバ、インドネシアの食品サプライヤー「Japfa」、フィリピンの食品メーカー「URC」、照明関連企業「Signify」のフィリピン子会社など複数の日用消費財関連企業と提携している。さらにインドネシア交通省と独占協定を結んでおり、トラックの積載情報をデータ化し過積載問題の緩和に一役買っている。

インドネシアには他にも、中国の「満幇集団(Manbang Group)」と類似の物流マッチングプラットフォーム「Kargo Technologies」が存在する。同社は今年3月、セコイア・キャピタルインド、ファンド「10100」(Uber 創業者のトラビス・カラニック氏が設立)などが投資するシードラウンドで760万ドル(約8億3600万円)の資金調達を終えた。イマン氏は自社のアドバンテージについて 、「Ritaseはサプライチェーン全体に向けたエンドツーエンドソリューションを提供している。輸送システムでは、リアルタイムでの配送状況記録に加え、貨物輸送ニーズのある車輌をアルゴリズムにより予測することも可能だ。さらにはドキュメント類の提出前に運送業者に前払いを行い、支払サイトを短縮することで、ドライバーと運送業者のキャッシュフロー改良に貢献している」と述べた。

Ritase幹部の顔触れをみると、CEO兼創業者イマン・クスナディ氏はインドネシア物流協会の会員で、15年のサプライチェーン実務経験をもつ。またCTO(最高技術責任者)兼共同創業者のダビド・サムエル氏はもとソフトウェア開発者で、COO(最高執行責任者)のイラワティ・ウィビソノ氏は営業・物流畑の出身だ。

衆為資本のパートナーである陸政彤(テランス・ロク)氏は、今回の投資に至った経緯についてこう語った。「インドネシアの物流コストは年間2150億ドル(約23兆6500億円)に達し、GDPの4分の1を占める。Eコマースの普及と消費の増加に伴い、同国の物流市場の過去4年間の年平均成長率は約11%となっている。高額な物流コストは商品価格の上昇あるいは利益率の低下を招く。経済の競争力を保つためには、メーカーによる物流コストの最適化が欠かせない。Ritaseは荷送人と輸送業者のマッチングにより、トラックの利用率低迷と需給の不均衡を効果的に解決し、貨物輸送プロセスの効率をさらに高めることができる」(翻訳・神部明果)

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