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アリババグループが展開する実店舗とECを融合した次世代スーパー「盒馬鮮生(Hema Fresh)」は、この3年間、業界の頂点に上り詰めることだけを目指し、一心不乱に突き進んできた。ところが2018年の年末から、この強気な拡大路線も見直しを余儀なくされている。「製造日の偽装表示」や「消費期限切れ商品の販売」といった問題が立て続けに発覚したことを受け、わずか3年間で北京のマネージャーは3回、上海のマネージャーは4回交代した。最近、初の店舗閉鎖にも踏み切ったようだ。
2018年以降、アリババをはじめとする中国の大手インターネット企業は、次々と地方展開を進めている。盒馬も一級都市や二級都市への店舗展開が一段落すれば、都市郊外や地方への進出が必要となるだろう。盒馬の侯毅CEOも、メディアの取材に対し「盒馬も、マンションの価格相場で言うと、坪単価16.5万元(約270万円)以下の地域にも進出しなければ」と語っている。中国市場、とりわけ生鮮食品市場は、地域間格差が極めて大きく、地域によって消費構造や消費習慣が異なる。例えば郊外の店舗ではパック包装ではなく、バラ売りが好まれ、これによりコストを半分以下に抑えることができる。侯氏も「その地域の消費ニーズに照準を合わせる必要がある」と語る。
中国の小売業では、これまでウォルマートやカルフール等の外資系企業が各地域に進出し市場を「支配」してきた。しかし最近はインターネット企業からの打撃により、これらの店舗では先行きの不透明感が強まっている。こうした中、アリババのニューリテール戦略の中核プロジェクトである盒馬は、今後どのような戦略を展開するのか、ニューリテールにとっての成功とは何なのかについて、侯毅CEOはこの3年間の振り返りを踏まえて、以下のような見解を示した(36Krによる編集・整理)。
ニューリテールにとっての「成功」とは?
「ニューリテール(新小売)」とは、アリババグループのジャック・マー会長が提唱した概念であり、インターネット技術を活用した小売業を指す。手法は多様だが、ニューリテールを成功に導くには、単なる技術だけではなく、チームが結束して商品やサプライチェーンに変革を起こすことも重要である。
盒馬が今後目指すべきもの
まず、盒馬は人口100万人以上の全ての都市に進出する。次に、年間売上高1兆元(約16兆円)規模の企業を目指す。もし盒馬が現在のスピードで成長を続ければ、この目標は10年後に達成できる。3つ目に、小売業における世界最高の利益率7~10%を達成する。現在、海外小売業の利益率が6~7%なのに対して、中国の平均利益率は約3%である。
これらの目標達成には以下のことが必要となる。まずは、一~三級都市の全ての都市をカバーする必要がある。次に、商品力で消費者を取り込む。そして、中国全土をカバーできるサプライチェーンの物流システムを構築する。盒馬はすでに自社の物流センター、加工センター、一時保管センターを設けており、この点で優位にあると言える。
小売業の発展
中国小売業は最初、ウォルマートやカルフールといった外資系企業を手本としてきた。しかし、近年はEC市場の発展によって、手本なき時代に突入し、迷路の入口に立たされているように見える。今後10年間は、外資系企業と中国企業が互いに学び合い、良い所を模倣し合うことで、共に成長する時代になるだろう。
3年間の振り返り
海鮮コーナーについて
盒馬鮮生の特徴の1つに、大きな生け簀が並ぶ海鮮コーナーが挙げられるが、その目的は顧客に新しいショッピング体験を提供することにある。また、もう1つの特徴は食材の店舗内調理サービスである。その目的は、海鮮コーナーの売り上げを伸ばすと同時に、魚介類の鮮度を保ったまま提供することである。このほか、待ち時間を短縮できる調理サービスのオンライン注文も好調だという。
倉庫併用店舗について
ECの発展に伴い、中国では倉庫併用型店舗が増加している。郊外に大型倉庫を置くのは過去のことで、今や地区毎に中小型倉庫があるのが一般的だ。倉庫併用型店舗は特定の地域を短期間のうちにカバーすることができるが、売り場が狭く品揃えが少なくなるため、盒馬がターゲットとしている中間層と富裕層の消費者には向いてない。
今年下半期、盒馬は新たな都市への進出を計画しているが、進出する以上は、市場を独占することが必要だ。そのために、倉庫併用型店舗を作ることもありうる。しかし、ニューリテールのミッションはインターネットを活用してオフライン店舗に変革を起こすことにあるため、重視すべきなのは倉庫より店舗だ。
盒馬モデルの適用性
侯毅CEOが盒馬モデルをある大手スーパーマーケットに導入し、改革を行った際、当初はアリババの優れたシステムや膨大なトラフィック、デジタル化のスキルなどがあれば、全ての問題を解決できると思っていた。しかし、現実はそう甘くなく、多くの問題が待ち受けていた。
1つ目は、商品構造と消費者の嗜好の問題。たとえ大型スーパーであっても、かつての商品構造では今の消費者に通用しない。2つ目は、オンラインとオフライン店舗では組織体制が大きく違うという問題。簡単には越えられないほどの違いがあった。3つ目は、客単価が上がらないという問題だ。
こうした問題を解決するため、盒馬モデルをさらに進化させて新たなモデルを作り出す必要がある。
(翻訳・桃紅柳緑)
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