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スマートホテルソリューションベンダーの「叡沃科技(RESTHOUR TECHNOLOGY)」がこのほど、シリーズAで5000万元(約8億円)の資金調達を実施した。リード・インベスターは「博将資本(BOJIANG CAPITAL)」、コ・インベスターは既存株主の「起点資本(iStart)」と「東霖資本(Donglin Capital) 」。調達した資金は技術開発と市場開拓に充てられる予定だ。
2017年7月に杭州で創業した叡沃科技は中国公安部第一研究所が進めている電子身分証によるホテルのチェックイン事業を行う初の企業である。創業者兼CEOの王琦氏はかつて杭州市公安局派出所の副所長、公安局科学技術科副科長を務めていたが、ホテルのチェックイン手続きの煩わしさを痛感して起業した。中国のホテルはチェックインする際、身分証明書の提示による身元の確認が必要であるため、長い行列ができる光景をよく目にする。ホテルのスマートフロントソフトウェアとハードウェアの開発を手掛けている同社は人工知能を活かしてホテルの運営効率の向上を図ると同時に消費者により良い宿泊体験を提供することを目指している。
2018年1月、叡沃はセルフチェックインプラットフォームを正式に発表した。王氏によると、叡沃のシステムは現在公安部第一研究所が運営している身分証ネットワークの身分証明機能を有する全国唯一のホテルチェックインシステムであり、また「支付宝(アリペイ)ネットワーク証明」や「騰訊(Tencent)E証通」による身分証明書いらずのホテルチェックインシステムをサポートする全国初の会社でもある。
叡沃セルフチェックインプラットフォームシステムを導入しているホテルでは、宿泊客はアリペイ身分証ネットワーク証明機能を利用すれば、実際の証明書を提示せずに宿泊できる。またスマートフロントシステムでは、ホテルのPMSシステム、ドアロック情報、微信(WeChat)/アリペイ支払い、公安データなどの照合により、身元の自動確認、当直スタッフ不要で10秒でチェックイン、3秒でチェックアウトが実現した。チェックイン手続きの簡素化だけではなく、顔認識によるエレベーター制御、顔認識によるドア開閉、顔認識による決済といった一体化したスマート宿泊体験も実現している。
叡沃は主に1~3級都市のコンベンションタイプの客室回転率が高いホテルと民宿を対象にしている。データから見ると、現在叡沃のスマートシステムは基本的に1~2人の業務を代替することができる。この他にも叡沃はホテルの会員システムの構築、SNSによるマーケティング活動も支援している。
現在叡沃は約1万軒以上のホテルと契約しており、北京、浙江、四川、安徽、雲南、広東、陕西等の多くの省をカバーしている。スマートフロントシステムの使用回数は延べ10万回に達している。利益獲得モデルについて、叡沃はリース方式を採用している。システムのリース料は1、2級都市のホテルサービス業スタッフの一人当たり給与水準以下に抑えており、リース設備に対して継続したアップデートとグレードアップを実施している。
王氏は、ホテルのフロント、銀行カウンター等の単純労働は必ずスマートロボットに代替されると見ている。現在、スマートチェックインの導入については様子見状態のホテルが多く、同社にとって最大の鍵は市場開拓を加速させ、規模拡大によってコストパフォーマンスを向上させることにある。
今シリーズの資金調達におけるリード・インベスター「博将資本」の創業者、羅闐氏は、AIとビッグデータは各業界にデジタル変革をもたらしているが、ホテル業界の進展は遅れている。叡沃科技が構築した優れたスマートソリューションを導入すれば、ホテル業務の効率化と運営コストの削減、宿泊体験の向上は間違いなく実現できるだろうと述べている。
(翻訳・桃紅柳緑)
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