画期的「リハビリロボット」、中国企業開発 VRで日常シーンをリアルに再現

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リハビリ支援ロボットを開発する中国スタートアップ企業「傅利葉智能(Fourier Intelligence)」がこのほど、独自開発のリハビリシステム「MetaMotus™ Galileo」を発表した。代表取締役兼CEOの顧捷氏は、患者が日常生活を取り戻せるよう助けることがリハビリの最終目標だと考える。そのために同社は仮想現実(VR)やロボット、バイオメカニクスなどのテクノロジーを統合し、実際の生活シーンと身体機能をバーチャル世界の中で結び合わせて、評価やトレーニングを行えるようにした。

Galileoプロジェクトが始動したのは2021年。システムには6軸モーションプラットフォーム、フレキシブルLEDスクリーン、自動調整トレッドミル、上肢・下肢リハビリロボット、トレーニング機器、インタラクションソフトなどが含まれる。コアモジュールは独自に開発したもので、全ての部品に中国の国産品を使用している。

Galileoシステムは主に神経や筋骨格系の損傷、退行性病変などに起因する運動機能や認知機能、日常生活動作、心理的機能の障害を対象に評価とトレーニングを提供するほか、アスリートや軍人の能力向上トレーニングにも活用できる。システムは30種類以上の機能モジュールを集約しており、ボートこぎ、地下鉄乗車、車椅子、道路の横断、坂道の歩行など現実的なシーンを再現して、リハビリに組み込んでいる。

例えばボートこぎのシーンでは、モーションプラットフォームと上肢リハビリロボットを連動させることで、オールを動かすときの重みや水の抵抗を再現した。オールにかかる力の強さによって波の高さが変わったり、波の変化に応じてスクリーン上のボートとモーションプラットフォームが同時に同じ動きを再現したりするなど、実際にボートに乗っているかのようなリアルな体験ができる。Galileoプロダクトディレクターの楊志豪氏は「太陽の位置や風に揺れる木々、岩に生えたコケなど、細部まで綿密に作り込んでいる」と説明する。

Galileoは日常生活に寄り添ったシーンを取り入れている。例えば、道路を横断するという一見簡単な動作でも、特定の患者にとっては難易度が格段に上がる。「パーキンソン病で歩行障害がある場合、スムーズに道路を横断できず危険が増す。しかも青信号の残り時間や行き交う車、クラクションなどが大きな心理的プレッシャーとなる。このためGalileoシステムでは信号のある道路を急いで横断するシーンを再現し、患者が実際の状況に適応できるようにした。また患者のレスポンスや歩行を評価して、歩行者用青信号が点滅している場面に遭遇しても横断できるようトレーニングしていく」と楊氏は語る。

地下鉄を利用している場面を再現

Galileoシステムは歩行機能や心肺機能の評価、高齢者向けリハビリ、疼痛リハビリなどにも活用できる。例えば、地震など自然災害が引き起こす心的外傷後ストレス障害(PTSD)に対する心理学的リハビリでは、音響効果やモーションプラットフォームにVR技術を組み合わせて地震のシーンを再現し、トラウマの原因となった刺激に段階的に慣れさせるエクスポージャー療法を通じて症状の緩和を図ることができる。

また傅利葉智能は、3Dモーションキャプチャーシステムや歩行分析用トレッドミル、表面筋電図、足底5次元力覚センサー、VRなどを統合したスポーツバイオメカニクス・ワークステーション「BioMotionX」も発表した。複数デバイスで収集したデータの一括分析ができないというこれまでの課題を解決するソリューションで、リハビリやスポーツトレーニング、人間工学などの分野で研究・評価ニーズを満たしていく。

(翻訳・畠中裕子)

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