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中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)は2019年、米国の輸出規制により5Gに対応する先進的なチップセットなどの調達が制限された。以降、同社は主力を4G対応スマートフォンの販売に切り替えざるをえなくなり、市場シェアを低下させる結果となった。
中国のハイエンドスマホ(600ドル・約8万8000円以上)市場におけるファーウェイのシェアは、輸出規制が強化される前の20年上半期には米アップルを上回る44.1%に達していた。しかし、米調査会社IDCによると、22年4〜6月期には落ち込むファーウェイを尻目にアップルが約77%と圧倒的なシェアを占めるに至った。
そのファーウェイが、5Gスマホ市場に復帰する可能性が出てきた。ロイター通信などは今年7月、ファーウェイが年内に5Gスマホの販売を再開する可能性があると報じた。
そして8月29日、ファーウェイは事前の予告なく、公式サイトで世界初となる衛星通話可能な新型スマホ「Mate 60 Pro」の販売を開始。6999元(約14万円)と高額ながら、初回販売分は即座に完売した。
Mate 60 Proを入手したユーザーらがテストした結果、ダウンロード速度は500〜600Mbpsで、5Gの速度に達していることが分かった(一般的な4Gの速度は100Mbps強)。同機種を分解し、ファーウェイが自社設計した7nmプロセスのチップセット「Kirin 9000s」が搭載されていたとするユーザーも現れた。このチップセットを製造したファウンドリーは明らかになっていないが、中国の半導体受託生産大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)だとする報道もある。
とはいえ、今回販売されたMate 60 Proは、システムなどが最終版ではない可能性があるという。ファーウェイは今後も、同機種の細かな部分を改善し、最適化していくとみられる。
米紙ワシントン・ポストによると、Mate 60 Proが発売されたことで、米国政府内では輸出規制など一連の制裁措置が中国の技術的進歩を抑制できなかったのではないかと懸念する声が広がっているという。
*23年9月5日のレート(1元=約20円 1ドル=147円)で計算しています。
(36Kr Japan編集部)
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