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昨今、宿泊業界では個人経営または独立系の小規模ホテルを取り込み、系列ブランド化するビジネスモデルが急成長を遂げている。この手法ならフランチャイズ加盟費も割安な上、ホテルの開業スピードは従来のホテルの40倍以上と急速な規模拡大が可能であり、地方都市の市場にもアプローチできる。
企業価値が100億ドル(約1兆600億円)近くに達し、中国進出からわずか2年弱で1万軒以上のホテルを整理統合してきたインド系ホテルブランド「OYO Rooms(オヨルームズ)」はよく知られるが、創業間もなく「華住酒店集団(Huazhu Hotels Group)」と「IDG資本(IDG Capital)」からシリーズAで数千万元(数億円)を調達した「H連鎖酒店(H Hotel)」も、「セミフランチャイズ」とも呼べるこの方式により過去8カ月で200都市以上への進出を果たし、1300軒以上のホテルとのフランチャイズ契約を実施し、開業を実現させてきた。
国内ホテルのフランチャイズ化で著しい成果を挙げるHホテルの創業者兼CEOの夏青寧氏に独自取材を行い、チェーンに属さない「独立系ホテル」業界の変化やチャンス、さらに中国本土でのソリューションについて聞いた。
ーーなぜ「既存の独立系ホテルの改装」という手段を選んだのですか。
「以前私が副総裁を務めた『芸竜(eLong.com)』の宿泊サービスは主にOTA(オンライン旅行会社)利用者を対象としていたが、チャンスはやはり供給側にあるとの結論に至った。地方市場、また中国と海外の市場を研究した結果、中国の経済発展と消費ニーズが産業構造の変革を迫る時機に来ているとみている」
「下記の左の図は各価格帯のホテル客室数とGMV(総流通総額)の比較、右の図は各価格帯のホテルのフランチャイズ加盟率を示している。1泊200元(約3000円)以下の格安ホテルが客室数の73.5%を占めているにもかかわらず、GMVは全体の半分にも及ばない。また低~中価格帯ホテルのフランチャイズ加盟率は25%以下だ。セミフランチャイズモデルについていえば、高級ホテルを除く80%近くの既存のホテルで整理統合が可能であり、市場規模は1兆元(約15兆円)に上る」
ーーセミフランチャイズの強み、また通常のフランチャイズとの違いは何でしょうか。
「我々のセミフランチャイズモデルでは加盟料を徴収しないほか、管理費やコストも低く、自由度の高い管理方法を採用している。ただしサービスの標準化は重視しており、ホテルのクオリティを本質的に向上させることで、稼働率と売上高を伸ばしている」
ーー五級都市への進出も始めていますね。
「創業当初から地方都市をターゲットとして見据えていたが、地方都市では宿泊率やRevPAR(1室当たりの売上高)の伸びが著しい。そうした場所では快適でリーズナブルなホテルが求められる。現在はマネージャーを地方に派遣する環境も整った」
ーーなぜマネージャーの配置を重視しているのですか。
「マネージャーは標準化されたサービスを現場レベルで推進し、経営データをフィードバックしており、フランチャイズ化にとっては欠かせないシステムだ。マネージャーに支払う賃金がコストの3分の1を占めているが、効果的なネットワークやブランド効果の形成、また加盟ホテルとの意思疎通といった面で、現段階では必要な経費だと考えている。現在では5000社の旅行会社や1万2000社の企業顧客とも提携しているが、そういった顧客開拓もマネージャーの重要な業務の一つだ」
ーーコスト削減と収益改善をどう進める予定ですか。
「現在は各ホテルに1人のマネージャーを配置しているが、今後は数店舗の店長を兼ねる方式に変えていく。また社外からマネージャーを雇用する方法に加え、社内でのマネージャー養成にも取り組む。さらにAIツールを活用したコスト削減と管理効率の向上もすでに実施しているほか、『無人ホテル』の実証試験も計画中だ」
ーーどのような管理システムを使用していますか。
「マネージャーと事業者のスムーズなコミュニケーションを促し、スマート化運営をサポートする『飛燕システム』、客室データや経営データなどの日常管理に使用するPMSシステム『招財猫』に加え、CRS(集中予約システム)やホテルの各部門の連携をサポートするシステムもある。10月末までに全ホテルでPMSのインストールが完了する予定だ」
ーーフランチャイズ化の実績は。ホテルオーナーのメリットは何ですか。
「我々は客室改装料を1部屋当たり1000元以内に抑えており、7~8カ月間で資金回収が可能だ。フランチャイズ加盟前の各ホテルの稼働率は60%前後だったが、現在は70~75%を維持しており、RevPARも約20%向上した」
ーー今後の事業計画について教えてください。
「加盟ホテルを中国全域でさらに拡大していく。一級都市では、飲食などの総合サービスを提供するやや高価格帯のホテルも計画している。その場合の宿泊料は1泊400~800元(約6000~12000円)になるだろう。また老朽化したホテルに対する資金支援も視野に入れており、ホテルオーナーとの踏み込んだ提携をよりいっそう進めていきたい」
(翻訳・神部明果)
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