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9月3日、「瑞幸咖啡(luckin coffee)」は、傘下ブランド「小鹿茶(luckin tea)」が独立運営することを発表した。専用アプリやSNSアプリ「Wechat」内のミニプログラムのリリース、実店舗の出店に加え、人気男性アイドルをイメージキャラクターとして起用するという。luckin teaは主に2級、3級、4級都市に出店し、カジュアル感を演出することで、1級、2級都市を中心にビジネスシーンに注力してきたluckin coffeeとの差別化を図る。
地方市場を開拓 高値では売れない
新型ティードリンクの人気が沸騰し、1級都市では客が有名チェーン店におしかける一方で、地方市場ではコピー商品が蔓延している。
そんな中、1級都市の中核的商圏を重点としてきた大手チェーン店が、2級、3級都市に出店し始めた。地方都市の消費のレベルアップに応え、またコピー商品を追い出すためだ。
それに対し、luckin teaは地方都市に注力し、2級、3級、4級都市に出店するという。luchin coffeeが地方市場を開拓する主な理由は、より低コスト且つスピーディーに店舗数を増やす方法を模索しており、地方市場に新型ティードリンクに対する旺盛な需要があるためだ。
口コミ情報サイト「美団点評(MEITUAN DIANPING)」が発表した「2019年中国ドリンク産業トレンド報告」によれば、2018年第2四半期の1級都市のティーカフェの閉店率は55%に上り、新規出店率の2倍となった。また、直近2年間の成長率は、1級都市が前年同期比59%、2級都市が同120%、3級以下の都市が同138%だった。
淹れたてティードリンク市場では、まだ地方で絶対的な強みを持つチェーンがない。1杯あたり25元(約375円)以上の商品がメインになると、地方都市の消費者は気後れしてしまう。1杯10元(約150円)の低価格店もあるが、それらは消費者がシェアしたくなるような特徴に乏しく、運営や管理の課題も多い。
新型ティードリンクが相次いで出現し、各社独自の特徴があるものの、インターネットにより人気に火がつき、トラフィックを追いかける点では同じだ。luckin teaも同様であり、同社のデータによれば、SNSにおけるluckin teaに関する書き込みは10億回を超えているという。
数あるティーカフェのなかで、luckin teaは人気が出る可能性を秘めている。1杯あたりの定価は27元前後(約405円)だが、luckin coffeeと同じく強気なクーポン戦略により、実際は十数元(300円未満)で購入できる。地方市場にとって、今までにない購買体験だ。
しかし、価格は地方都市の消費者にとって無視できない要素だ。定価に戻せば、消費者は価格が倍増したように感じ、大きな心理的落差を感じさせる。したがって、地方市場で安定的に成長するためには、長期にわたりクーポンを発行するか、定価を変更することが必要となる。その場合、コストをいかに下げるかが課題だ。
コスト削減に店舗拡大 luckin teaの折衷案
コストが高止まりする一方、急速に店舗数を増やす必要があるため、luckin coffeeはluckin teaのために、「新型小売運営パートナー」というモデルを打ち出している。
これは新型ティードリンク業界の重要な一歩と言える。luckin teaのパートナーは加盟金なしを謳っており、黒字化するまでロイヤリティも取らないという。さらに、新規顧客の1杯目のクーポンのコストをluckin teaが負担する。
その代わり、店舗賃料、人件費、材料費、減価償却などのコストはパートナーが負担する。最新の財務データによれば、これらのコストは全体の60%近くを占めていた。ブランディング、新規顧客の誘致や活性化、デジタルシステムの開発や運営、サプライチェーンの管理などは小鹿茶が行う。
また、パートナーはいつでも店の売り上げ、注文数、在庫データなどを確認できる。店舗運営の効率向上のため、AIによる顔認識と商品認識機能も使用される。
luckin teaにとって、この方法のコストは直営より低く、フランチャイズより高いが、管理はしやすい。しかし、パートナーにとっては、初期投資やリスクが低くなるとは限らない。
Luchin teaはluckin coffeeの戦略的新ブランドであり、必ずしもより高い利益をもたらすとは限らない。
luckin coffeeのCFO兼CSO、Reinout Schakel氏によれば、淹れたてティードリンクの1杯あたりのコストは挽きたてコーヒーよりも高いという。最新のデータによれば、コーヒーとティードリンク両方を統計したドリンク商品1杯あたりのコストは11元(約165円)に下がったが、ティードリンクはこれより高いということになる。クーポン込みの販売価格と同等か、少し安い程度だ。
コーヒーマシーンやティーマシーンは固定資産であり、商品を多く販売すればするほど、1杯あたりのコストが低くなり、スケールメリットが出てくる。地方都市の賃料や人件費が比較的安いことも、1級都市にあるluckin coffeeと比べれば強みになる。これらの要素を鑑みれば、小鹿茶が十分な販売量を確保できれば、定価を変更することも可能になるだろう。
新規プレーヤーとして、淘汰が速い新型ティードリンク市場で、luckin teaは人気を維持し、新商品を発表し続け、リピーターを増やせるのか。そして、luckin coffeeが18ヶ月続くと予想した赤字期間を我慢し通せるかは、まだ不透明だ。
(翻訳:小六)
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