4つのポイントで徹底解説 2019年第2Qの業績が示すシャオミ復調の兆し 

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中国のスマートフォン大手シャオミ(小米科技)が先月、2019年上半期および第2四半期の業績を発表した。シャオミの上半期売上高は前年同期比20.2%増の957億1000万元(約1兆4300億円)だった。調整後の純利益は同49.8%増の57億1000万元(855億円)で、このうち第2四半期の売上高は同14.8%増の520億元(約7800億円)だった。調整後の純利益は同71.7%増の36億4000万元(約545億円)で、ブルームバーグの予想値28億1000万元(約420億5円)を大きく上回った。

画像提供:シャオミ(2019年8月20日現在)

ポイント1:スマホ事業の復調

第2四半期売上高の61.6%を占め、収益に最も貢献しているスマホ事業は、前年同期比5%増の320億元(約4800億円)だった。スマホ事業の売上総利益率が前四半期の3.3%から8.1%に大きく上昇し、2017年第4四半期以降最高の水準となったことは今四半期ののハイライトだ。

2018年、スマホ事業の収入は伸び率が下降の一途をたどったため、同社は第4四半期に大胆な戦略転換を敢行。事業の商品構成を調整し、ミドルレンジ~ハイエンド商品の比率を高めた。

今年1月から、同社は正式にサブブランド「Redmi」を別ブランドとして切り離し、それぞれ独立して展開することにした。メインブランドMiはミドル・ハイエンド商品および多様な市場をターゲットに、ニューリテールの販路開拓に注力する。Redmiブランドは極められたコストパフォーマンスを武器にEC市場を主戦場とする。さらに女性ユーザーをターゲットにした新商品「Mi CC」シリーズがリリースされ、高品質のハードウェアとスマホ写真の美容補正機能が女性ユーザーの間で爆発的な人気を博している。

ポイント2:IoTと日用消費財の安定した成長

スマホ事業に次ぐ収入源であるIoT事業は、同社で最も安定した成長を示す。決算書によると、今年第2四半期、IoTと日用消費財が総売上高に占める割合は、前四半期の27.5%からの微増となる28.8%だった。同事業による収益は、同社の将来的な発展構想においても重要視されている。

画像提供:シャオミ(2019年8月20日現在)

IoT化されたスマートハウスシステムでは、ユーザーが玄関のドアを開けるとAI音声アシスタント「小愛同学」が帰宅を歓迎し、同時に空気清浄器や空調など同社製のAI搭載機器が次々に起動する。洗濯乾燥機「Pro」はスマホや小愛同学などを経由した音声操作で、洗剤投入などの動作を自動で行い、テクノロジーによる快適な生活を実現する。

ポイント3:インターネット事業の多様化

決算書のデータによると、今年上半期、シャオミのインターネットサービス事業収入は前年同期比23.6%増の89億元(約1300億円)で、第2四半期の収入は同15.7%増の46億元(約700億円)だった。うち、広告収入は同0.6%減の25億元(約380億円)だった。

昨年第3四半期から、シャオミは中国でのスマホ広告とゲーム以外のインターネット関連サービスで収入を得るようになり、それらの収入が全体に占める割合が増加傾向にある。今年第2四半期、中国国内でのこうした収入は前年同期比で108.8%も増加し、インターネットサービス事業全体に占める割合は31.8%から36%に増加した。

他に、海外市場でのインターネット関連サービスによる収入の重要性も上がってきている。現在、シャオミが市場シェア1位を占めるインド市場では、「Mi Video」や「Mi Music」「Mi Credit」などのコンテンツや金融サービスによって収益化を図ろうとしている。

ポイント4:コスト制御による利益の全面的な改善

今期の決算書における最大のポイントは、コストと費用の厳格な管理だ。第2四半期の調整後の純利益が36億4000万元だったのに対し、同 コス四半期の総コストは前年同期比12.9%増の447億元(約6710億円)で、コストを効果的に抑えたおかげでグループ全体の売上総利益率は前四半期の11.9%から14%に上昇した。

画像提供:シャオミ(2019年3月19日現在)

売上総利益率の増加を維持しながら費用コントロールを進めていった点も特筆に値する。売上高に対する開発費比率は1.44%から1.39%に、一般管理費比率は3.77%から3%に下がった一方、販売費比率は4.2%から4.4%に上昇したが、売上高費用比率全体「(開発費+一般管理費+マーケティング費)÷売上高」は9.4%から8.8%に下がったことから、同社の管理効率が改善されたことが分かる。

国際化+5G:シャオミの今後

第2四半期、海外市場でのシャオミの売上高は前年同期比33.1%増の219億元(約3300億円)に達し、総売上高の42.1%を占めた。市場調査会社Canalysが40以上のカ国・地域を対象とした調査によると、今四半期、シャオミのスマホ出荷台数は5位だった。

同社の販売店「Mi Store (小米之家)」は2019年6月30日時点で海外に603店あり、そのうちの79店がインドにある。同社はインドのスマホ市場において今四半期まで8四半期連続で出荷台数トップを維持している。

シャオミがイノベーションと開発に対して行ってきた初期投資は、5Gの実用化に伴って同社の発展における強みとなる可能性がある。同社の「AIoT戦略」は住宅や家電のスマート化、ネットワーク化に注力しており、これらと5Gが謳う「IoE」の基本理念は図らずも一致する。つまり、シャオミは5G時代が到来する前にスマートホームの実現にまい進している数少ない企業の一つなのだ。

5Gの普及を目前にして、ますます激しい競争環境と低迷する経済動向により、シャオミも戦略転換を迫られるだろう。、その過程は苦難の連続となるに違いない。しかし、同社の現状をみると、まだ変革の途上にあるとはいえ好ましい傾向が幾つも見られる。
(翻訳・虎野)

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