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中国IT大手アリババグループ傘下のフィンテック企業「アントグループ(螞蟻集団)」が、独自に開発を進めていた金融分野特化型の大規模言語モデルを発表した。同グループなどが9月に上海市で主催したグローバルフィンテックサミット「Inclusion・外灘大会」で、グループ副総裁の王暁航氏が大規模言語モデル「AntFinGLM(螞蟻金融大模型)」と、その戦略について紹介している 。
AntFinGLMはアントグループが独自に開発した汎用型大規模言語モデルをもとに構築されたもので、基盤のコンピューティングクラスターには万規模のGPUが使用されている。同グループの資産管理および保険プラットフォームで内部テストに移ったという。
AntFinGLMの機能を生かした2つのプロダクトも同時に発表された。スマート金融アシスタント「支小宝2.0」とスマート業務アシスタント「支小助1.0」だ。支小宝2.0は個人顧客向けで、モバイル決済アプリのアリペイ(Alipay、支付宝)から利用できる仕様だという。
さらに金融タスク用ベンチマーク「Fin-Eval」もリリースされた。5分野の28種類にわたるタスクを評価できるもので、すでに公開され、利用が可能になっている。
「大規模言語モデルにはハルシネーション(幻覚:一見もっともらしいが事実とは異なる内容などを指す)という問題点があるため、特定分野の知識やロジックの厳密さを確実にする以外に金融サービスを真にサポートする道はない」。アントグループ副総裁でAntFinGLMを統括する王氏はこう述べる。
AntFinGLMは、金融分野で積み重ねてきた大量の実務を基に、「大規模言語モデル+知識+サービス」という構造を作り上げることで「事実を語る」ことができるようにした。
AntFinGLMは1兆トークンの汎用コーパスで事前学習している。現段階でオープンソースの大規模言語モデルとしては世界最強とされる米メタのLlama 2でも、事前学習コーパスのサイズは2兆トークンだ。AntFinGLMははさらに5000億トークンの金融関連のコーパスで事前学習し、300以上の実際の業務シーンから60万以上の良質なインストラクションデータを取得しており、金融業界に特化した専門の大規模言語モデルを構築している。
コンテンツ生成については、意図認識とファクトチェックの2つを組み合わせることで安全に運用できるようにしている。
AntFinGLMを活用した初のプロダクトである2つのスマートアシスタントについても紹介された。
スマート金融アシスタントの支小宝2.0は主に個人ユーザー向けのAIアシスタントで、「業界分析、ポートフォリオ診断、アセットアロケーション(資産配分)の助言、投資教育」などのサービスを提供する。開発チームによるテストの結果、高精度の意図理解力を持ち、金融分野における意図を95%の正確さで認識できるほか、金融業界の動向を分析・推理する能力も業界のスペシャリストに匹敵することが明らかになっている。
金融エキスパート向けの支小助1.0は大企業用のスマート業務アシスタントで、さまざまな金融業務に従事する人々に向け、6つのバージョンを展開している。
(翻訳・山下にか)
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