ショッピングモールにミニ動物園 AIやIoT活用で飼育を

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今年に入り、中国の屋内動物園「MR.ZOO 小小動物元」が相次いで3回の資金調達を行っている。シードラウンドでは「寒武紀(Cambrian Venture Capital)」が、エンジェルラウンドでは「戈壁創投(Gobi Partners)」が、プレシリーズAでは「頭頭是道投資基金(Toutoushidao Capital)」が出資を主導しており、調達総額は数千万元(数億円)に上る。調達した資金は組織構築や店舗拡充に充てるという。

屋内動物園はもともと海外の業態だが、中国でもここ2年ほどブームとなっている。ある統計では、今年に入って全国で34カ所が開園しており、チェーン展開する企業も複数存在する。

MR.ZOOは、アクアリウムなど水景デザインを手がける「奇溢自然(MAGIC NATURE)」がインキュベート(育成)したプロジェクトの一つ。MR.ZOO創業者の左強氏によると、中国の都市部では自然科学関連の教育アプローチがワンパターンになりがちで、受け手の需要を満たしていない。博物館などの施設も展示内容が薄く、サービスや動線設計の概念も弱い。来館者の多くは子連れのファミリーだが、子どもだけでなく保護者も楽しめるような仕掛けはない。

MR.ZOOは商業施設に出店するため集客も容易で、天候や季節の影響も受けない。来園者は映画や買い物など、他の用事とも組み合わせて利用できる。「ただ見るだけ」ではない参加型の体験になるよう、園内にはガイドが常駐し、保護者を巻き込んで参観を楽しめるよう工夫されている。保護者自身が動物について子供に説明できるよう導いてくれるのだ。

天候や季節の影響も受けないから集客しやすい

一般的な屋内型動物園に比べ、あえて小規模にしているのも特徴だ。多くの屋内型動物園が2000~4000平方メートルの広さであるのに対し、MR.ZOOは600~800平方メートル程度だ。動物園には休憩場所や飲食施設、キッズスペースなどを併設するのが一般的だが、MR.ZOOは商業施設内にあるため、こうした設備を省ける。小規模のメリットは入居先が探しやすいことと、坪効率が高いことだという。

小規模とはいえ、飼育する動物は150種類以上で、海、洞窟、ジャングル、湿地などの生息環境別に6つの展示スペースを設置し、クラゲや小型のサメなどの海水魚、トカゲやクモなどの爬虫類、テンやリス、ウサギ、ミニブタなどの哺乳類までさまざまな小動物を集めている。希少動物の展示は避け、飼育環境にも配慮している。また、AIやIoTを活用して飼育に関わる作業負荷を大幅に軽減しているのも特徴だ。いずれの園でも飼育員は2人しか配置していないという。

「ジャングル」の展示スペース
飼育する動物は150種類以上

現在、MR.ZOOは5園を運営しており、来年には40~50園にまで増やす予定だ。入場料以外の収益が50%近くを占めているのも特徴で、その内訳は関連グッズやイベント、会員サービスなどだ。

出資機関の一つである戈壁創投のパートナー朱璘氏は「MR.ZOOの運営者は生き物に対する理解が深いだけでなく、動物園の運営をニューリテール(新小売)と融合させるチャンスを上手く掴んだ。今後もこれでにないスキームを生み出し、業界のベンチマークとなってほしい」と期待を寄せている。(翻訳・愛玉)

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