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仏LVMHモエヘネシー・ルイ ヴィトン(以下、LVMH)のベルナール・アルノー会長兼最高経営責任者(CEO)は今年1月に開かれた2022年12月期通期決算の発表会で、「今年は素晴らしい年になるだろう」、なぜなら「中国市場に対して自信を持ち楽観的である理由は十分にある」からだと述べた。しかし今、彼は厳しい現実に打ちのめされている。
LVMHグループが10月10日に発表した23年7~9月期決算によると、売上高は前年同期比9%増の199億6000万ユーロ(約3兆2500億円)で、市場予想の211億4000万ユーロ(約3兆4400億円)に及ばず、成長率も上半期(1~6月)の17%、および前年同期の19%を下回った。
LVMHグループに続き、グッチ(Gucci)などの高級ブランドを展開する仏「ケリング(Kering)」グループも10月24日に23年7~9月期の決算を発表したが、これも期待外れのものとなった。売上高は前年同期比13%減(為替の影響等を除いた場合9%減)の44億6400万ユーロ(約7260億円)で、アナリストの予想を大きく下回った。
LVMHグループの日本を除くアジア市場の成長率は4~6月期が34%だったのに対し、7~9月期は11%と大幅に鈍化した。同時期、ケリンググループの小売事業の地域別売上高は、日本は28%増となったが、中国を含むアジア太平洋地域はわずか1%増にとどまった。
高級品の売り上げが伸びないのは、中国人が買わなくなったからだろうか?
消えつつある中国人の「高級品崇拝」
23年4月、中国の消費者が購入した高級品うち62%が中国国内で購入され、コロナ禍以前の19年4月の41%から増加したと、ブルームバーグが調査会社Sandalwood Advisorsのデータを引用して報じた。その理由は簡単だ。新型コロナウイルスの影響がまだ残っており、海外旅行に行く中国人が減少したからだ。
一方で、海外に行っても、多くの中国人が以前ほど爆買いに走らず、体験型の「コト消費」に関心が移り始めている。
「高級品の購入はそれ自体が自分へのご褒美だが、今は(ミシュランの星を獲得した高級レストランでの食事や、海外の憧れのリゾートホテルへの宿泊など)ライフスタイルに関連した事柄にお金を使うことが多くなっている」と、ある高級品愛好家は言う。
現在の中国では、ポストコロナの経済環境と市場変化の中で、一部の新中産階級や若い消費者たちが消費に対する認識や選ぶブランドを変えつつある。たとえば感情的な結びつきを感じたり価値観が似ていたりするブランドや中国ブランドを好む傾向にある。これにより、高級品を手に入れたいという一部の消費者の熱意もある程度そがれ、かつての「高級品崇拝」は崩壊した。
あるユーザーは中国版インスタグラムの小紅書(RED)に「働き始めた頃は、他の女の子が高級バッグを持っているのを見て、すごく欲しくなり、数カ月分のお給料をつぎ込んででも買いたくなった。でももう高級品には魅力を感じない。高いというのもあるけど、今は本当に欲しくなくなったの」と投稿している。
作者:WeChat公式アカウント「道総有理(ID:daotmt)」
*2023年11月14日のレート(1ユーロ=約162円)で計算しています。
(翻訳:浅田雅美)
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