スマホ用ジンバル、AIで自動追跡。”世界初”生み出し続ける「Hohem」が約20億円を調達

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撮影するときの手ブレを補正する機械ージンバルを開発する中国テック企業「浩瀚卓越科技(Hohem Technology)」(以下、Hohem)がこのほど、シリーズBで1億元(約20億円)超を調達した。出資は、著名VCの順為資本(Shunwei Capital)と君聯資本(Legend Capital)が主導し、雲啓資本(Yunqi Partners)、同創偉業(Cowin Capital)、雲沐資本(YM Capital)なども参加。資金は製品や技術の開発、マーケティング、販路の構築に充てられる。

Hohemは2014年に設立され、人工知能(AI)を搭載したスマホ・カメラ用ジンバルを手がけており、被写体を自動的に追跡する機能を最初に開発した。動画を作るユーザー目線でAI技術を活用し、もっと手軽で効果的な撮影の実現を目指している。

映画やテレビの制作用ツールと見なされてきたハンドグリップ型ジンバルは、プロのカメラマンを除き、その利便性は一般的にほとんど知られていなかった。しかし、スマホのカメラ機能が向上するのに伴い、クオリティの高い動画コンテンツを撮影したいという消費者の需要も急速に高まっている。

動画コンテンツを作る際、撮影時には高速で動く中でも高い安定性が求められる。またHohemは、ライブ配信やショート動画、旅行記録などでの活用シーンが増える中、ユーザーがカメラマンを同行して両手を解放し、自身が主役となる美しい瞬間を撮りたがっていることを見抜いた。

米国の国際放送機器展「NAB Show」にも出展(画像は企業提供)

Hohemは2016年1月の米テクノロジー見本市「CES」で、自動的に顔を追跡する機能が搭載された世界初のスマホ用ジンバルを発表し、AI追跡ジンバルというカテゴリーを生み出した。こうしてハンドグリップ型ジンバルはプロだけでなく、一般ユーザーにも浸透し始めた。

2021年には、世界初となる自動追跡オンデバイスAI搭載のスマホ用ジンバルをリリースし、ブルートゥース(Bluetooth)を使わずに人物を自動で追跡する撮影を可能にした。24年10月には次世代AI技術を導入し、世界初の小型タッチパネルデバイス付きのスマホ用ジンバル「iSteady M7」を発売した。小型デバイスには、映像表示や各種設定、リモートコントロールという3つの機能が集約されている。

リモコンにもなる小型デバイスは取り外し可能で、独自に開発したAIモジュールが搭載されている。ユーザーは、映像を見ながらタッチパネルの画面上に示される四角の枠を物体や人物に合わせるだけで検出と追跡ができる。この機能は、ブイロガー(Vlogger)やライブ配信のインフルエンサーたちにとって、動画コンテンツの撮影効率とクオリティを高めるものだ。

スマホ用ジンバル「iSteady M7」(画像は企業提供)

スマホ用ジンバルはハイスペックモデルのほかに、一般ユーザー向けに軽量で使いやすい「X」シリーズと「V」シリーズを展開している。コンパクトで持ち運びに便利な折りたたみ式のデザインで、高度な手ブレ補正とAI機能も備えており、クオリティの高い動画を簡単に作れるようにした。

Hohemの創業者・陳敏氏は「スマホ用ジンバルは、プロのカメラマンや愛好家が使うツールから、一般ユーザーが日常を撮影する際に使う身近なものに変わった。当社は小型で使いやすい製品からオンデバイスAIを開発する中で、業界の先駆者として継続的な技術革新と製品改良を通じてスマート化と大衆化を目指してきた。動画配信がより一般的なものとなって普及が進む中、AI搭載ジンバルは大衆化が加速する新しいステージに入っていくはずだ」と話した。

Hohemは、TikTok本国版・抖音(Douyin)のECショップで、カテゴリー別販売ランキングの3年連続トップとなっている。2024年の大型ECセール「ダブルイレブン(双11)」では販売台数が過去最高を再び更新し、抖音や天猫(Tmall)のカテゴリー別販売ランキングでもトップとなった。

全体の売上高のうち海外事業の占める割合が60%以上で、世界50を超える国と地域の市場に参入しており、米アマゾンなど複数のECプラットフォームでも、カテゴリー別のトップブランドとなっている。

同社は今後、AI技術や撮影技術、自動制御技術に対する投資を増やし、製品の改良と活用シーンの開拓を通じて事業のグローバル化を進めていくという。

*1元=約21円で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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