36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録
プール清掃ロボットの開発を手がける中国スタートアップ「元鼎智能(Yuanding Intelligence)」がこのほど、10億元(約200億円)近くの戦略出資を受けたと発表した。スペインの世界的な大手プールメーカーFluidra(フルイドラ)が出資したほか、雲啓資本(Yunqi Partners)、XVC、復星鋭正(Fosun RZ Capital)なども参加した。
Fluidraはプールやウェルネス関連機器で世界47カ国に進出し、36カ所の生産拠点と130カ所以上の販売拠点を持つグローバル企業。AstralPool、Zodiac、Jandy、Polarisなどのブランドで製品を展開し、住宅用・商業用プール市場に広く浸透している。元鼎智能はFluidraとの提携を通じて、その特許技術やグローバル販売ネットワークを活用し、これまでオンライン中心だった販売チャネルを多様化しながら、世界のプール市場への本格参入を目指す。
プールロボット市場で中国勢が台頭
プール清掃ロボット市場ではすでに競争が激化している。イスラエルのMaytronicsが展開する「Dolphin」やFluidraの「Polaris」、オーストラリアのBWT、米Haywardといった海外ブランドが強い存在感を放っている。一方で、中国発ブランドも技術力とコスト競争力を武器に急成長中だ。元鼎智能の「Aiper」、望園科技の「Wybot」、星邁創新の「Beatbot」、智橙動力の「SMOROBOT」、追覓科技の「Dreame」、思傲拓の「BestRobtic」などが台頭している。
新しく参入したメーカーが、米アマゾンなどでオンライン販売を始めるのは比較的簡単だが、継続的に販売を伸ばすには困難も多い。一方、Home Depot(ホーム・デポ)やLowe´s、Best Buy、Walmart(ウォルマート)といった大型小売チェーンでの販路獲得には高いコストと時間がかかる。また、約30万店存在する世界のプール専門店は閉鎖的で新規ブランドの参入障壁が最も高く、業界内では「欧米の大手量販店とプール専門店に商品を展開できれば、トップブランドの仲間入り」との見方もある。
元鼎智能は、ワイヤレス化技術や人工知能(AI)、自動水質管理などのコア技術に加え、優れたサプライチェーンと効率的な経営によって、2023年から米国・欧州・オーストラリア市場でオンライン販売のトップブランドとなっている(アマゾン調べ)。世界の主要な大型小売チェーン7000店以上で商品を販売しているほか、Fluidraとの提携でプール専門販売店という新しい販売チャネルを開拓した。
市場調査会社Business Researchのデータによると、世界のプール清掃ロボット市場規模は2024年が9億8000万ドル(約1440億円)で、2029年には19億4000万ドル(約2850億円)まで拡大する見通しで、年平均成長率は14.7%と高い。
市場は大きく成長するポテンシャルを秘めているが、業界全体では変革期を迎えている。技術の均質化が進む中、今後はサプライチェーンの効率性、販売チャネルの広がり、そしてブランド力が競争のカギを握るようになる。
創業者の汪洋CEOは「今後もプール分野に特化し、専門性と品質を高めながらブランドを強化していく。欧米事業に引き続き注力しながら、中東や中南米、アジア太平洋地域の市場開拓を進め、グローバルなエコシステムの構築を加速していきたい」と語った。
*1元=約20円、1ドル=147円で計算しています。
(翻訳・大谷晶洋)
36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録