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中国ネット通販業界が11月11日に開催する特売イベント「双11(ダブルイレブン)」の各社の戦績が明らかになった。消費関連のビッグデータ企業「星図数据(Syntun)」によると、全通販サイトの売上高合計は11月11日24時時点で前年比30%増、4101億元(約6兆4000億円)になったという。今年は昨年の成長率24%より6ポイント上昇し、加速時代が再来したことがわかった。
アリババ:勝因はライブコマースにあり
双11セール中、アリババグループの売上高は2684億元(約4兆2000億円)で全体の65%を占めた。昨年の68%より若干下げたものの、依然として他プラットフォームを遥かに上回っている。今年の双11では「淘宝直播(タオバオライブ)」が際立った。淘宝直播による販促は、1日で約200億元(約3100億円)の取引を成立させ、そのうち十数の配信ブースで取引成立1億元(約15億円)以上を記録した。地方都市への業務拡大戦略における要として、ライブ配信が見せた見事なパフォーマンスは低調気味だったアリババへのカンフル剤となった。
京東:共同購入サービス「京喜」がもたらした驚喜
京東集団(JD.com)は双11当日の売上高が前年同期比30%増の705億元(約1兆1000億円)で、昨年の成長率0%を大きく上回った。新たに投入した共同購入サービスアプリ「京喜(Jingxi)」がまさしく“驚喜”というべき貢献を果たしたようだ。京喜は同日で1億100万アイテムを販売した。そのうち、三~六級都市の新興市場に住む新規利用者からの注文は、当日の京喜の新規利用者の7割を占めた。しかも全体の3割は6級都市の住人だ。要約すると、京東も地方都市への事業拡大を主要戦略に据え、はなから地方都市をターゲットにして成長してきた「拼多多(Pinduoduo)」との競争を本格化させる。新たに京喜を参戦させたことにより、京東は拼多多から一城奪還できたようだ。もはやWeChat経由の集客を拼多多の独壇場にはさせない。
拼多多:息を呑む成長率
拼多多の勢いは、昨年の双11での鮮烈デビュー以来とどまることを知らない。昨年は94億元(約1500億円)を売り上げ、「唯品会(Vipshop)」を抑えて4位にランクインした。今年の売上高は前年同期比166%増の250億元(約3900億円)だ。市場シェアは昨年の3%から6%に倍増し、流通総額(GMV)でECプラットフォーム第3位となった。
166%の成長率は同業他社より格段に高いとはいえ、拼多多からすると、このデータはまばゆいというほどのものではない。双11前、拼多多は11月のGMV目標を10月の3倍と設定していたからだ。10月の拼多多GMVは1077億元(約1兆7000億円)である。つまり、11月にGMV3倍を達成するためには、3000億元(約4兆6000億円)が必要になる。この目標から計算すると、双11の250億元という数字では平凡過ぎるのだ。
総括すると、今年の双11の全体的なパフォーマンスは依然として目覚ましく、「地方都市開拓」は双11の代名詞ともなった。テンセントの地方都市への事業拡大政策の中で、京東は「京喜」をWeChatに紐づけて密やかに結果を出したものの、競争が激化した後も「驚喜」効果は続くのだろうか。
拼多多の第3四半期のGMVは市場の予想を上回ったとはいえ、同社がブランド、アリババ、京東という3方からのプレッシャーに耐え、成長神話を発展させられるかどうかは、引き続き注視すべきであろう。
(翻訳・永野倫子)
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