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中国のIT大手「騰訊(テンセント)」がショート動画サイト「快手(Kwai)」への投資を増やし、アリババも快手に出資した。
2019年12月3日の報道によると、快手はまもなくIPO前の最終シリーズ(シリーズF)の資金調達が完了するという。今回の資金調達は、テンセントがリードし、「博裕資本(Boyu Capital)」、「雲鋒基金(YF Capital)」なども出資している。シリーズFでは約30億ドル(約3300億円)を調達し、テンセントはそのうちの20億ドルを負担。投資後、テンセントが保有する快手の株の持分は20%となる。なお、アリババの雲鋒基金も出資したが、金額が少なく、快手との関係は連携といったレベルに留まっている。
今回の資金調達完了後の快手の市場価値は286億ドル(約3兆円)と見込まれる。
テンセントとアリババが同時に同じ会社に投資するのは初めてではない。テンセントが主要出資者だった動画サイト「ビリビリ(Bilibili)」にもアリババは出資していた。
公開情報によると、テンセントは2017年に快手への投資を始め、シリーズDからシリーズFのすべてをリードした。今回の資金調達完了後、テンセントと快手の関係はより緊密になり、2社はゲーム分野で独占的連携をする予定だという。
ショート動画事業は不調だが、まだこの分野を諦めていないテンセントにとって、快手への投資は目下の最善策と思われる。人気のコンテンツプラットフォームと緊密に連携でき、競合である「抖音(Douyin)」と対抗することも期待できる。今年、テンセントは快手にSNSプラットフォームを開放し、快手のショート動画のURLがWechatを通してシェアできるようになり、関連するサービス「看一看」もローンチした。
テンセントは、快手との連携を強めるとともに自社のショート動画サービス「微視(WeShow)」にも力を入れている。自社のショート動画サービスのため、Wechatで30秒のショート動画のシェアができるように設定されている。これは快手にはない優遇措置である。
一方、快手から見ると、微視ほどに優遇されていなくても、抖音よりは優位性があると言える。WechatのSNSと連携しているほか、テンセントのゲーム分野のリソースも利用できるようになった。よって、快手はゲームのライブ配信の分野で、抖音より順調に成長している。抖音を含む多くのショート動画サイトはテンセントとゲーム著作権についてトラブルがあり、例えば抖音の運営企業傘下の動画サイトは、テンセントが制作したゲームコンテンツの配信をすべて禁止されている。
快手が公表しているゲームのライブ配信に関するデータによると、モバイル端末のDAU(1日のアクティブユーザー数)は3500万人で、ゲームに強いライブ配信アプリ「虎牙(HUYA)」とナスダックに上場している「闘魚(DOUYU.COM )」の合計を超えている。集計データによると、2019年6月5日までで、闘魚と虎牙のDAUはそれぞれ1500万と1100万となっている。
ショート動画分野単体で見ても、コンテンツプラットフォームとしても、快手は中国でも優れたトラフィックプラットフォームの一つである。それがアリババも同社に投資した理由だ。アリババは抖音と年間60億元(約900億円)の枠組み協定を締結したが、快手の方もなかなか見捨てがたい状態だ。ECサイト分野では、快手は「拼多多(ピンドゥオドゥオ)」、「京東(JD.com)」等と連携を構築し、重要なトラフィックのリソースとなっている。
しかし、報道によると、快手はアリババに対しても、テンセントに対しても、中立的な態度だという。お互いにパートナーでもあり、競合相手でもあるからだ。これは快手が自ら選択した道であり、テンセントやアリババ等出資者との関係を考慮した結果でもある。
(翻訳:小六)
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