スノボブーツに付ける「AIコーチ」、滑走中に助言 中国「Heygo」が数億円調達

スポーツトレーニングに特化したAIデバイスを開発する中国スタートアップ「Heygo」は、エンジェルラウンドで厚雪資本(Houxue Capital)から数百万ドル(数億円)を調達していたことが分かった。

Heygoは2025年設立。創業チームには、バイトダンスやテンセント、DJIといった有名企業の出身者がそろう。最大の特徴はメンバー全員がスキー愛好家で、うち6割が国際スキー指導員資格を保有し、スキーコーチや冬季オリンピックの審判を務めた人物もいることだ。彼らは、これまでのスキートレーニングが高額かつ不安定なコーチの指導に依存してきたことに加え、滑走中の動作データが体系的に収集・モデル化されてこなかったことに着目した。

初の製品、スノーボード向けAIデバイス「Heygo S1」は、スノボブーツの外側に取り付ける2つのセンサーとAIソフトウエアからなり、滑走中のユーザーの運動データを収集・分析し、練習に必要な情報をリアルタイムでフィードバックする。

スノーボード向けAIデバイス「Heygo S1」

ブーツに装着したセンサーは足首の動きを捉えるが、それがそのままボードの動きを示すわけではない。ブーツの変形やビンディングを介した力の伝達によって、ボードへの伝わり方にズレが生じ、そのズレは次第に広がっていく。この問題を解決するため、同社はAIモデルの学習段階で、足元とボードの両方にセンサーを設置。大量の実測データから両者の対応関係を構築し、ブーツに取り付けたセンサーのデータからボードの動きを推定する仕組みを編み出した。

同社は過去1年間かけて、日本やニュージーランド、新疆ウイグル自治区など、気温や雪質、地形の異なるゲレンデで滑走データ100万件以上を収集、データの誤差を最小限に抑えた。さらに、デバイスの防塵・防水性能を最高レベルの「IP68」とし、1回の充電で1週間以上使用できるようにした。

「Heygo S1」の最大の特徴は、AIによるリアルタイムのフィードバックだ。滑走中にはBluetoothイヤホンを通じて短いアドバイスを提供し、リフトに乗っている間に直前の滑走を振り返る。さらに、1日の滑走終了後にはトレーニングレポートと今後の練習に関する提案を生成する。フィードバックの内容は、ユーザーの技術レベル、過去のパフォーマンス、動作の特徴などに応じて調整される。

AIチャットボットがいつでもフィードバック

同社はすでに、データの収集・アノテーションからモデルの学習・検証までをつなぐクローズドループを構築している。1回の滑走を個々のターンに分解し、ターンの入り、ターン中、ターン終了といった段階ごとに分析する。デバイスには基本ソフトが付属しており、より詳細な分析やユーザーに合わせた練習計画もサブスクリプション形式で提供される。

「Heygo S1」は、自社サイトのほか、中国国内の電子商取引(EC)サイト、世界20社余りのスキー用品店で販売する。また、ニュージーランドやカナダなどのスキー協会やトップクラスのコーチと提携し、プロ層を手始めに徐々に一般ユーザーへと浸透させる計画もある。2026年9月に予約販売が開始されており、10月には発送が始まる予定。初回は38カ国・地域が対象となる。

今後、事業範囲をスキーやスケートボードからサーフィンやスケートボードなどへと広げ、スポーツトレーニングに特化したAIデバイスとソフトウエアのプラットフォーム構築を目指すという。

DJI出身者、AIでテニスを刷新 球出しロボが「練習相手」に

*1ドル=約158円で計算しています。

(翻訳・田村広子)

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