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ファーウェイが手がける車載コンピューティング・プラットフォームおよびインテリジェント・ドライビング・サブシステム・ソリューション「MDC(Mobile Data Center)」がこのほど、ドイツの第三者検査機関「テュフ・ラインランド(TÜV Rheinland)」からISO 26262(自動車の電気・電子システムの機能安全についての国際規格)の認証を取得した。この規格は全世界の電子部品サプライヤーが自動車業界に参入する際にハードルとなる規格の1つだ。
現在の自動車電子業界への参入基準には主に、Automotive SPICE(車載システムのプロセス改善と能力評価、A-SPICE)とISO 26262の2つの体系がある。A-SPICEはヨーロッパの自動車業界で研究開発プロセスの改善およびサプライヤーの研究開発能力評価に広く使われている。「国盛証券(Guosheng Securities)」は、ファーウェイが今回取得したのはプロセス体系に対する認証で、今後は各完成車メーカーとの間で具体的なプロジェクト認証が行われる見通しであり、自動車関連事業におけるファーウェイの発展ペースが加速しそうだと指摘している。
昨年10月、中国人工知能学会(CAAI)において、ファーウェイのMDC製品ラインを統括する鄧湘鴻氏は「自動車開発のプラットフォーム化戦略は、大規模な工業生産に適しており、これによって重複した開発を避けることができる。部品の共有化率を上げることで、開発効率を高め、コストを削減できる」と述べている。
ファーウェイMDCは、自社開発のCPU「Kunpeng(鯤鵬)」とAIプロセッサ「Ascend(昇騰)」をベースに、同じく自社開発のスマートドライビングOSを搭載し、L2+~L5クラスの自動運転をサポートする。現在、ファーウェイMDCはすでに18社の主な自動車企業およびTier1と提携し、乗用車、事業用車、特殊作業車などさまざまな自動運転の活用シーンを網羅している。
従来型の自動車企業もプラットフォーム化を進めている。2012年にフォルクスワーゲンはMQBモジュール化プラットフォームを導入し、大量の自動車部品の標準化を実現し、異なるブランドの異なるクラスの車種で部品を共有できるようになった。シュコダ「Superb」、フォルクスワーゲン「Golf」、アウディ「TT」「A3」などの車種はいずれもこのプラットフォームによって生産されている。テスラにも独自のコンピューティングプラットフォームがあり、異なるカメラやミリ波レーダーなどをこのプラットフォームに統合し、新車種開発の時間短縮を実現している。
国盛証券は、ソフトウェア・デファインド・ビークル(ソフトウェア主体の車作り)の流れの中で、ファーウェイを代表とするコンシューマー電子業界のトップ企業がより多く自動車業界へ参入するようになり、業界の変革の時期が近づいていると考えている。
この流れは、今年の「CES2020(コンシューマ・エレクトロニクス・ショー)」においてもその一端を垣間見ることができた。ソニーは電気コンセプトカー「VISION-S」をリリースし、サムスンは「デジタルコックピット」を発表し、LGは車載インフォテイメントシステムを展示した。ドローンメーカー「DJI(大疆創新科技)」はLiDARセンサーの価格を100ドル(約1万1000円)まで引き下げている。自動車の電子化は、半導体だけに留まらず科学技術の領域においても、次の重要な焦点となるだろう。
(翻訳・普洱)
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