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コーヒーブランド「沃欧珈琲(wow coffee)」がこのほど3500万元(約5億4000万円)を調達したことが分かった。今回の出資はシンガポールのファミリーファンドによるもので、財務投資のほかに、沃欧珈琲はさらにマレーシアの「UR Coffee」工場を合併吸収している。
中国のコーヒー市場は2019年に大変なにぎわいをみせ、「luckin coffee(瑞幸珈琲)」が上場、「魚眼珈琲(FISHEYE)」、「三頓半(Saturnbird Coffee)」、「時翠(SECRE)」が資金調達を終え、コーヒー市場での大手企業の準備は整った。これに対して、2017年に設立したインスタントコーヒーブランドの沃欧珈琲は、ターゲットをより大きな地方市場に向け、商品はホワイトコーヒーのみに絞り、大衆化日用消費品ブランドとして位置付けた。
今回の資金調達後、生産能力を強化した沃欧珈琲は、その品目を広げ、ホワイトコーヒー味をメインとし、インスタントコーヒー粉からコーヒー飲料全体へと守備範囲を広げた。
成長中の地方市場
中国のコーヒー市場はここ5年で20%以上の年平均成長率を維持している。高級コーヒーブランドがますます多くなっているが、市場全体を見てみると、インスタントコーヒーが従来どおり市場の7割を占め、コーヒーブランドも海外ブランドが主である点は無視できない。
創業者の王鵬氏は、地方市場には巨大な成長の余地があるとの見方を示した。同氏は沃欧珈琲の設立以前に「中糧集団(COFCO)」でコーヒーブランドの仲介業務に長年従事したことから、高級コーヒーブランドは「中国人には合わない」ことに気づいたという。規模やリピート回数に関係なく、中国市場にはマッチしなかったとのこと。そこで、同氏は2017年に沃欧Wowブランドを立ち上げ、「京東(JD.com)」の618セールスプロモーションのときにコーヒー部門で4位に入り、当月の売上高は180万元(約2800万円)となった。京東での実績をもとに2018年には「天猫(Tmall)」に出店し、年間5000万元(約7億8000万円)を売り上げ、2019年には共同購入システムECである「拼多多(Pinduoduo)」に出店した。
製品と位置付けにおいて、沃欧珈琲は他社とは明らかな差別化を図っている。
・ホワイトコーヒーの選択。市場で売られている何十種類の飲み物を調査した結果、沃欧珈琲は、中国人は「香り、濃さ、甘さ」を好む傾向があり、すべてのコーヒージャンルの中でホワイトコーヒーが最も飲みやすく、大衆市場で最も受け入れられやすいことを発見した。ホワイトコーヒーは、眠気を覚ますほか「胃腸を悪くしない、のぼせない」などのコンセプトを打ち出している。
・コスパの良さ。王鵬氏によると、地方市場の消費者は価格に敏感で、即売会、お買い得などには敏感に反応し、輸入品のマレーシアホワイトコーヒーの価格は、ネスレの半分程度、100本入りで64.9元(約1000円)しかしない。同じ価格であればネスレの100本入りのお徳用パッケージよりも一回り以上も大きく、この点をユーザーも直感的に理解している。
販売チャネルにおいては、異なるECプラットフォームに出店しているほか、沃欧珈琲はアリババの「淘宝網(Taobao)」内のコンテンツコミュニティ「店舗微淘」で基層ユーザーとの関連付けを重点的に行ない、「天天特価」や「農村淘宝」などのページで販売をするほか、ヒマワリの種や米、小麦粉、食用油などの日用品と関連付けて販売している。
ライバルはコーヒーに限らない
沃欧珈琲はコーヒーブランドであるため、他のブランドとの直接的な競争はないように見える。しかし、王鵬氏によれば、沃欧珈琲は単なるコーヒーブランドではなく、同社は主力製品として「ホワイトコーヒー」を打ち出しているが、コーヒーに合うお菓子や缶コーヒーなど、各シーンに合わせた研究開発も行っている。よって、今後のライバルは、カップ入りインスタントミルクティーの「香飄飄」やアーモンドジュースの「杏仁露(露露)」などになるかもしれないと見ている。
今回のM&A(合併吸収)後、沃欧珈琲は、生産サイドで新たな企業を設立したことで、サプライチェーンにおいて安定供給を保証し、かつ原材料、輸送、運営面でのコストもさらに25%以上削減されることになる。また、同社はマレーシアから研究機関を誘致し製品開発を行う。
現在、沃欧珈琲は、オンライン上での販売がメインであり、オフラインでは学校、病院などの公共機関で自動販売機での販売を試みている。ECのほかに、同社は今年、民泊、ビジネスホテル、学校周辺のスーパーマーケットなどを対象に販売ルートを新たに開拓している。また、さらに遠方の省への販売ルートも引き続き切り開いていく計画だ。
(翻訳:lumu)
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