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関係者によると、フードデリバリーを中心とした生活関連総合サービス大手の「美団点評(Meituan Dianping)」は、中国の100以上の都市でモバイルバッテリーシェアサービスを急速に広げようとしているそうだ。
現在、中国のモバイルバッテリーシェアにおいて有力な企業は「街電(JIEDIAN)」、「来電(Laidian)」、「小電(DIAN)」、「怪獣充電(ENERGY MONSTER)」の4社だ。来電社の元従業員によると、美団はこれらの企業から人材を引き抜いているという。
収益よりもトラフィック重視
美団がモバイルバッテリーシェア業務を展開する目的は集客の一点に尽きる。
モバイルバッテリーシェアの開始1カ月足らずで、すでに多くの店舗が美団のサービスに加入している。現時点では店舗側の手数料が免除され、無料で美団のモバイルバッテリーが使用できる。美団はまた加入済みの店舗をアプリでより多く宣伝するため、店舗としては来客増が期待できる。
美団のモバイルバッテリー製品には他社と大きな差はない。違いをもたらすのは、同社の運営力と多様なオンラインサービスとの連動である。店舗側の美団に対する信用は他に比べて高く、美団も自社のプラットフォームから出店店舗に直接モバイルバッテリーを設置してもらうよう迅速な交渉ができる。
美団の関係者によると、モバイルバッテリーシェアによる売上は年間1〜2億元(約15億~30億円)程度しかなく、主な目的は売り上げではない。美団が考えているのは、オンラインのトラフィックをオフラインに誘導することで、アプリのDAU(日間アクティブユーザー数)とブランド力を一段と押し上げることである。
同社の組織構造を見る限り、モバイルバッテリーシェアと自転車シェアリングは同格で、ともに美団のLBS(位置情報に基づくサービス)プラットフォームに所属することがわかる。自転車シェアリング、デリバリー、ホテル予約、映画チケット販売など、美団はアプリのトップ画面から利用できるサービスを増やし続け、トラフィックをオフラインに誘導しようとしている。モバイルバッテリーもその一つである。
機が熟したときに参入
シェアリングエコノミーは2017年からブームになり、一時は自転車、クルマ、クローゼット、傘など、あらゆるものを共有する勢いだった。しかし、今や自転車シェアリングは美団、「滴滴(DiDi)」、「哈囉(Helloglobal)」3社のみとなり、ほかのシェアリングサービスはほぼ消えてしまった。
シェアリングエコノミーは収益モデルを確立させるのが難しい。しかし、モバイルバッテリーならいくらか簡単になる。初期投資が少なく、充電が実需として存在するからだ。現時点でこの業種は黒字化できている状態である。
また、モバイルバッテリーシェアには広告収入も期待できる。利用者も店舗もモバイルバッテリーに広告が載ることを受け入れており、リサーチ会社「iresearch」によると、モバイルバッテリーシェアの売り上げの97.2%は利用料で、ほかは広告収入である。
2019年、中国のモバイルバッテリーシェアの市場規模は79.1億元(約1200億円)で、今後3年間の年平均成長率は44.9%に達すると予想されている。アリペイやSNSアプリ「WeChat」の決済機能を使用すれば、デポジットなしで利用できる手軽さが受け、この市場は安定的に成長を続けてきた。2019年9月に値上げしたあとも、利用者はそれほど減少していない。そして、業界関係者によると、2020年はモバイルバッテリーシェアの有力企業が数社に絞られ、巨額な買収も行われるはずだという。
来電社の従業員によると、現在の数社はどこも不安定な状態で、大手インターネット企業の参入も増えている。最終的には美団とアリババがそれぞれ1社を買収、またはどれか2社が合併する可能性があるという。
美団のような大手の参入で、モバイルバッテリーシェアサービスの戦国時代は終焉を迎えるのだろうか。
作者:Tech星球(Wechat ID:tech618)、馬微氷
(翻訳:小六)
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