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教育はVR技術の主な活用分野の一つとなっており、中国メディア「毎日経済新聞(National Business Daily)」の統計によれば、2018年の中国政府調達サイトに表示されたVR関連事業の落札公告は前年比18.58%増の452件だった。そのうちの大多数は、図書館、博物館、大学研究室、職業訓練学校の実習拠点といった教育分野で活用されている。
「北京隠虚等賢科技(Beijing yinxu dengxian keji)」が開発したVR学習製品「Mage VR」は、企業と一般消費者向けに約1000件の優れたカリキュラムやVRインタラクティブ体験を提供している。
同社の共同創業者である関天智氏は、VRソフトウエア市場には現時点で統一基準がなく、やや混乱しているとの見方を示す。教育分野のVR関連事業では注目トピックスをフォローする傾向があり、コンテンツの方向性は目まぐるしく変化する。例えば今回の新型コロナウイルス流行中には、新型コロナウイルスに関するVR教育コンテンツを作り、学校や教育機関に販売したこともあった。だがVR教育のコア・バリューとなるような傑作コンテンツには至っていない。
VRソフトウエア市場はハードウエア市場に一歩遅れる形で発展してきた。ここ数年でヘッドセットデバイスなどのVRデバイスの価格は徐々に下がっている一方、UX(ユーザーエクスペリエンス)やクオリティは徐々に上昇しており、コンテンツ一体型デバイスが明らかなトレンドとなっている。それと同時に、ソフトウエアのクオリティにはピンからキリまで大きな差があり、関氏によれば多くのVR教育コンテンツがデモ形式を主としたものであり、ほんの1~2分で終了してしまうため一度きりの体験でしかない。こうした市場環境を鑑み、同社は英語のような基礎学科を手始めに、クオリティの高い体系立った学習プロダクトを開発しようとしている。
同社は「新課程標準(日本の学習指導要領に相当する)」「ケンブリッジヤングラーナーズ(YLE)」「新概念英語(New Concept English)」などの定番教材と、Mage VRプラットフォームのバーチャルシーン、人物、 3D要素などの要素を融合させ、ユーザー専用の学習ワールドを創り出す。
成熟した学習ツールには完結型学習の提供が求められるが、VRデバイスを長時間付けていると目まいを起こす可能性があり、バーチャルカリキュラムを使って勉強できる時間は限られてしまう。そこで同社はVRデバイスとモバイル端末を組み合わせ、ユーザーが予習、練習、レベルアップの学習サイクルを形成できるような製品を設計した。つまり、VRプラットフォームの学習コンテンツをミニプログラム(小程序)にそっくり移植した上で、シーンも3D化させ、よりリアルなオンライン学習コンテンツを作り上げたのだ。
米国のオンライン・バーチャルゲーム開発プラットフォーム「Roblox」は200カ国・地域に広がる1億1500万人のZ世代ユーザーを抱えており、米国の9~12歳の児童の半数をカバーしている。同プラットフォームが子供たちの心を捉えている主な理由は、その3D環境と没入式の体験だ。Robloxはテンセントと協業し中国市場への進出も果たしており、今後はプログラミング教育分野に注力していくとみられる。
英語学習、とりわけ英会話学習には練習シーンが必要であり、VRは没入型の体験を提供できる。MageVRのバーチャル世界には異なる人物設定、性格、役割を持った「バーチャルパートナー」が存在し、そうした架空のキャラクターがユーザーを各種の学習テーマに引き込んでくれる。さらに全てのバーチャルパートナーはユーザーを中心にして、ガイド、解説、練習といったさまざまなタスクを行う。シャドウイングやある程度のフリートークも可能だ。関氏は「ユーザーはVR動画環境の中でよりリラックスし、自信を持つことができる。間違いを恐れて言い出せないということもない」と語る。
同社のカリキュラム開発チームは「VIPKID」や「好未来(TAL)」といった教育関連のトップ企業出身であり、製品開発チームも「中軟国際(Chinasoft International)」「上海常青藤院校(Shanghai Ivy School)」および著名な基金管理会社の出身だ。同社はVR教育コンテンツ製品を昨年リリースして以降、主に提携企業パートナーを通じて学校にリーチし、現時点で数十校に上る中国各地の小中学校で製品を導入させてきた。また学校以外にも約2000人の潜在ユーザーを抱え、VRヘッドセット「VIVE」の「HTC(宏達国際電子)」、バイドゥ(百度)、ファーウェイ、レノボ、チャイナモバイルなどの大企業とコンテンツでの提携を結んでいる。
(翻訳・神部明果)
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