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コワーキングスペースを展開するWeWork、ネット配車サービス大手Uber、インド発の格安ホテルチェーンOYOなど海外主要企業との不採算取引に注目が集まっているにもかかわらず、ソフトバンクグループ(東京証券取引所:9984)の中国投資は引き続き好調で、次の「アリババ」となるような企業を支援してきた。
積極的な投資戦略と迅速な意思決定プロセスで知られるソフトバンクの孫正義CEOは、2000年に電子商取引(EC)サイトのアリババ(ニューヨーク証券取引所:BABA)とその創設者であるジャック・マー(馬雲)氏に、2億ドル(約215億円)を出資した。その20年後、杭州を拠点とする同社は、評価額が5700億ドル(約61兆円)を超えるインターネット業界のマンモス企業に成長した。ソフトバンクのアリババ投資は、リターン面で史上最も成功した取引の一つとして知られるようになった。
何年にもわたり、日本のコングロマリット、ソフトバンクはこの国でビジネスとテクノロジーを形成する取引を続けざまに行ってきた。1999年には、当時はまだインターネットポータルに過ぎなかったオンラインゲーム大手の「網易(ネットイース)」(ナスダック:NTES)を支援した。また、中国オンライン旅行最大手の「携程(Trip.com)」(ナスダック:TCOM)にシリーズAで出資する一方で、ライドシェア最大手でソフトバンクも出資していた現在の「滴滴出行(Didi Chuxing)」と後に合併することになる配車スタートアップの「快的打車(KuaiDi)」にも6億ドル(約644億円)を出資した。
2018年には、大人気ショート動画プラットフォームのTikTokを運営するバイトダンス(字節跳動)に30億ドル(約3000億3000万円)を出資し、同社の評価額を750億ドル(約8兆2000億円)に引き上げた。バイトダンスは近頃、非公開取引での評価額が1000億ドル(約11兆円)以上に達したと伝えられている。
2020年4月、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が拡大する中、ソフトバンクは中国の不動産賃貸プラットフォーム「自如(Ziroom)」と「貝殻(Ke)」に対してそれぞれ10億ドル(約1080億円)規模の独占的出資を行った。
しかしながら、ソフトバンクグループが手掛ける投資ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」の投資先企業の大部分が近代史上最悪のパンデミックによる損害を被ったため、同社は1994年の上場以来最大となる1兆9000億円の営業損失と9615億円の純損失を計上した。
長期にわたる提携パートナーであるジャック・マー氏が、13年間務めたソフトバンクグループの取締役を6月25日付けで退任する一方で、孫正義氏は、コロナウイルス感染拡大の影響を受け、投資先88社のうち15社は倒産するのではないかと述べている。
2020年はソフトバンクの投資活動における重要なターニングポイントの年になりそうだ。中国ではソフトバンクは、人工知能リーディングカンパニーの「センスタイム(商湯科技)」、トラック配車サービス最大手「満幇集団(Full Truck Alliance Group;FTA)」、バイトダンスなどといった上場が噂されるトップのユニコーン企業の後ろ盾であり続けている。
(翻訳・浅田雅美)
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