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8月21日、共同購入型ソーシャルEC大手の「拼多多(Pinduoduo)」が2020年第2四半期(4~6月期)決算を発表した。
売上高、ユーザー数など多くの指標で堅調な伸びを示したが市場の反応は鈍く、決算発表後に株価は10%下落し、時価総額は約1000億元(約1兆5000億円)蒸発した。
市場から評価されない理由として、ある流通市場のアナリストは、次の3点を挙げる。第一に、売上高は予想をやや上回った程度だった。第二に、GMV(流通取引総額)の伸びの鈍化が顕著だった。第三に、コスト管理が不十分で、コストの構造を適正化する必要がある。
好成績は「100億元キャンペーン」の名残
2019年第2四半期、拼多多は「100億元(約1500億円)補助金」計画を打ち出した。その効果は著しく、2019年だけで1億人以上の新規ユーザーを獲得している。
2020年6月30日時点で、拼多多の月間アクティブユーザーは前年同期比55%増の約2億人増となり、前四半期比でも16.18%伸び、約8000万増だった。同じく中国EC業界大手のアリババは月間アクティブユーザーが2800万人増、年間アクティブバイヤーが600万人増で安定しているのに比べ、拼多多は急拡大している。
年間アクティブバイヤーの数では、今年第1四半期の2社の差はわずか1億人、第2四半期では差は5900万人にまで縮まった。
集客コストでも拼多多は優位にある。拼多多の1人当たり約170元(約2600円)に対し、アリババは500~800元(約8000~1万2000円)だ。
注目されるGMVでは、拼多多は今四半期の伸びは47.6%にとどまり、ここ2年の最低にまで落ち込んだ。
購入補助金の対象、3Cから日用品へ
拼多多は損失度外視の購入補助金戦略で成長してきた。
ここで、補助金の対象が変更されたことに注目したい。
馬靖CFOは決算説明会で、「第2四半期に他社は3Cデジタル機器(パソコン、通信機器、家電製品)に積極的に補助金を出したが、我々は日用品を選んだ。日用品はリピート率が高く、購買頻度が高い」と説明した。
その結果、アップルやダイソンなど高価格帯の商品を買う人が減り、GMVの伸びに歯止めがかかった。
ARPU(1ユーザーあたりの平均売上高)で見ると、アリババは年間平均消費額が1万元(約15万円)に達するのに対し、拼多多は2000元(約3万円)以下にとどまる。
100億元キャンペーンは取引額や売上高の増加による安定成長をもたらすが、短期的に販売数や客単価を上げることには結びついていない。
市場が重視するのは収益力だが、なお高成長期にある拼多多は、物流システムやカスタマーサービスを整えるのに多額の資金投入が必要だ。
出店事業者が拼多多で安くビジネスを展開できるのも、もう終わりに近づいているのかもしれない。
(翻訳・二胡)
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