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アリババ、新小売の次に「新製造」 元ユニクロ幹部が変革する次世代デジタル工場

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中国の中小アパレルブランド「范洛(FANO STUDIOS)」は、アリババグループが運営する中国最大級のECモール「淘宝網(タオバオ)」に出店すると同時に、アリババが提唱する「新製造(ニュー・マニュファクチャリング)」を推進する「小単快反(小ロット生産・短納期)」プラットフォームを利用する企業の代表格だ。デニムを主力とし、最小ロット100からの生産を行っている。

范洛はすでにニュー・マニュクチャリング戦略の恩恵を享受し、従業員は120人にまで拡大、昨年の取引額は1億5000万元(約23億5000万円)を達成した。今年は取引額2億元(約31億円)を目指す。

アパレル業界の新トレンドとなっている「小単快反」とは、リードタイムを7~15日にまで短縮する試みだ。アパレル商品の予約販売は予約から納品までの期間が15日以上に引き延ばされるとコンバージョン率が顕著に下がる点に着想している。

しかし、メーカーとしては一度に大口の注文を受けたいのが本音で、小刻みに小ロットを受注するのはコストコントロールが難しい。品質を維持し、コストの問題をクリアしながら生産スピードを上げるのは、アリババ傘下のECモールに出店する多くの中小ブランドや新興ブランドにとっては難関だ。

こうした課題を解決するため、アリババは水面下で3年の年月をかけ、最近になってようやく新事業「犀牛智造(Xiniu Zhizao)」を世にお披露目した。

「犀牛智造」を担う工場は、アリババの本拠地・杭州で稼働する

犀牛智造の実現を支えるアリババの工場では、商品デザインの最終決定・生産・供給を担っている。工場の稼働開始前にはすでにタオバオに出店する200以上の中小アパレルブランドと提携を決めた。

こうした新事業は、2016年にアリババ創業者ジャック・マー(馬雲)氏が、アリババの将来を見据えて打ち出した「五新」戦略からスタートした(五新=小売、製造、金融、技術、エネルギーの5産業を改革する取り組み)。マー氏は2018年になって、そのうちの製造業改革について「中国全土、ひいては全世界の製造業を席巻する脅威であり、機会である」と述べ、「今後10年から15年にかけて製造業全体が直面する苦しみは、我々の想像を遥かに超えるものになる」と予言している。

その新製造戦略の1号プロジェクトとして誕生したのが犀牛智造だ。アリババが収益性の高いニュー・マニュファクチャリング型の工場をつくることで、自らアパレル業界全体の手本となる。現在はグループのCEO職に就くダニエル・チャン(張勇)氏は2017年、ユニクロでグローバルサプライチェーンを統括したこともあるアパレル業界での経験豊富な伍学剛氏を迎え、犀牛智造のCEOとして抜擢した。

ダニエル・チャン氏の采配の下、アリババは新たに新製造に特化した事業部門を立ち上げ、3年をかけて社内外から多くの優れた人材を結集させた。最終的に、伍氏と高翔CTOを頂点とした製造業およびインターネット業界の人材が融合する組織が構築された。メンバーの80%がエンジニアだ。

新事業はまずアパレル業界から着手した。アリババのモールで出店数が最多で、年間1兆元(約15兆7000億円)規模の販売額に達するのがアパレルだからだ。また、エコシステム構築に当たってはリソースの統合が必要だが、これに必要なデータもアリババでは豊富に揃っている。

犀牛は引き続いてスマート化を加速させ、戦略やビジネスモデルを確立していく必要がある。

工場運営の手法においては、犀牛はファストファッションブランドの代表格ZARAと似ている。しかし、新商品の発売頻度はタオバオの方が上だ。ZARAは月1回ペースだが、タオバオでは基本的に隔週で新商品がプラットフォームに載る。

生産体制を柔軟化させるために最大の障壁となるのが小刻みな商品デザイン変更だ。日ごとに異なるデザインの商品を生産するにあたり、製造ラインの調整が難しい。これを実現するにはマンパワーのみならず、システムやアルゴリズムの助けが必要となる。IoTでデータを取り、クラウドでAIによる意思決定を行い、人はスケジューリングを行うだけという体制にするのだ。

伍CEOは「最終的には業者の在庫をゼロにするのが目標だ」と断言した。

(翻訳・愛玉)

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